ドイツのインダストリー4.0や米国のインダストリアル・インターネットなど欧米の製造業のデジタル変革を教材にして、日本の製造業でもこの5~6年でDX(デジタルトランスフォーメーション)の研究や実証実験が進んでいる。特に、コマツやミスミグループ本社といった先進的企業の取り組みのように、スマートファクトリーの具体的な成功事例が見えてきたこと、さらにGAFAを筆頭にしたプラットフォーマーの出現によるゲームチェンジが次々と起こっていることから、日本企業の経営者の危機感が一気に高まり、DXに取り組まなければ生き残れないとばかりに、一斉にDX推進に舵が切られた。
その一方で、DX推進といわれても何をしてよいのか想像もつかない経営者が、「AIを使って何か考えろ」「ベテランの知識をAIに覚えさせてロボットで代行できるようにしろ」といった曖昧な指示を連発するため、かえって現場が混乱するという例が散見される。
NRIシステムテクノは、NRIグループにおいて消費財製造業にITソリューションを提供する専門企業として、長年ある製造企業のDX推進に伴走してきた。かつては、伝票処理の効率化のような業務効率化を中心としたERPやSCM、DWHを導入することで製造企業のIT化を先導してきたが、現在はそれだけにとどまらず、DX推進へ変貌しなければ顧客の期待に応えられないとの危機感から、DX推進の初期段階からさまざまなプロジェクトに参画し、現場での経験を積んできた。
このプロジェクトでさまざまな困難にぶつかり、その結果得られた教訓から、プロセス型製造業のDX推進の本当の進め方は、「(プロセス型製造業に)見合ったDXを推進すること」「収集したデータを社内外でオープンに活用できるようにネットワークを整備すること」、そして「クラウド活用の本質を見極め、従来のシステム開発方式を一気に変革すること」の3つなくして成り立たないということが分かった。
本特集は3つの論考に分けてその本質を解説するが、本稿ではサマリーとして各論文のポイントを記載する。また、文末には当社の会社概要を掲載する。

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執筆者情報

  • 田中 健太郎

    NRIシステムテクノ

    事業本部 デジタル事業企画部長

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