CONTENTS
Ⅰ AIの現在地
Ⅱ 汎用技術への進化
Ⅲ 実体化するAI
Ⅳ AI進化の時間軸と世界の拡張
要約
- IPAによれば、AIの導入、または実証実験を行う国内企業の割合は2023年度で34%に達し、年々増加している。生成AIの導入を検討する企業は全体の53.8%に上り、生成AIがAI普及の牽引役となることが期待されている。しかしながら生成AIは要素技術であり、現状では誰もが活用できる技術ではなく、中長期的には抜本的な進化が必要である。
- 今後、AIは、より大規模化し電力インフラのような公共性を有する「大きなAI」と、小型化し生物のような多様性を有する「小さなAI」へと進化していくと思われる。小さなAIは、モノに組み込まれ、ユーザーに寄り添い、その人の状況を最もよく知る存在となる。小さなAIで解決できない問題は、より高度な思考力を持つ大きなAIの知的リソースを利用し、推論性能を拡張して解決する。大きなAIと小さなAIとは補完関係となり、将来的に、社会になくてはならない汎用技術になるだろう。
- 生成AIブームにより、ヒューマノイドロボットが再び注目され、工場作業などの実用用途に対応する「未来の労働力」としての開発が進んでいる。ロボットの自律的行動には「世界モデル」が必要であり、生成AIの技術が活用され始めている。ロボットがAIのアバターとして実世界と接触し、経験値を積むことで、世界モデルが完成に近づくと期待される。
- 2030年代から2040年代にかけて、小さなAIが自動車や家電、空間などに組み込まれ、知的な空間「Ambient Intelligence(環境知能)」が実現される。小さなAIは、人々と対話し課題解決を支援する一方で、ネットワークを形成し、収集したデータにより実世界をデジタルで再現した「ミラーワールド」を生成する。大きなAIがミラーワールドを通じて現実世界の問題に予見的な対策を立て、デジタルとフィジカル両面から世界が営まれる新たな時代が開かれるだろう。
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- 名前
- 長谷 佳明
- 所属・職名
- 未来創発センター デジタル社会・経済研究室
エキスパートストラテジスト
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。
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