CONTENTS

Ⅰ 自家用車に最適化された地方部のまちづくり
Ⅱ 日本版ライドシェアの現在と課題
Ⅲ 地方版ライドシェアの将来像
Ⅳ 低運賃と利便性の二律背反からの脱却
Ⅴ 米中で実用化しているロボタクシー
Ⅵ 官民でつくる新しい地域交通

要約

  1. 地方部では、自家用車での移動を前提とした「まちづくり」が進められてきた。一方で、広く分散した街と公共交通の代表格である鉄道や路線バスは相性が悪く、利便性を高めつつ運転手不足にも対処できる、新たな公共交通が求められている。
  2. 2024年4月より「日本版ライドシェア」が開始されたが、人口密集地や観光地における供給不足の解消にとどまり、地方部における移動の足の確保には貢献できてない。
  3. 地方部では、タクシーを補完する形で一般ドライバーが他者を運送するライドシェアの考え方を上手に援用し、地域のリソース(運転手や車両)を最大限に活用して、移動手段を確保することが必要である。
  4. 公共共通の事業特性として、ドア to ドアの移動サービス(タクシーやオンデマンドバスなど)を民間事業として運行すると、運転手一人当たりの輸送力が低いために運賃が高くなる傾向がある。利用者にとって便利だが日常使いが難しくなる現状に対し、低運賃と利便性の両立に向けて、米国や中国で実用化されているロボタクシー(人の運転手が不要な自動運転車両)の導入に期待が集まっている。
  5. ライドシェアやロボタクシーの登場は、自家用車と公共交通の境界線を曖昧にする。自家用車の利用シーンが家庭から社会に広がることは、自動車OEMに新たな事業機会をもたらす。また、旅客・交通事業者・一般ドライバーの各ニーズを包含する公共交通を成立させるには、制度やデータ交換の仕組みを整備する必要がある。新たな地域交通を実現させるために、行政・民間の協力による積極的な議論が期待される。

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    新谷 幸太郎
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