CONTENTS

Ⅰ 国内における排出枠・カーボンクレジット取引の取引形態と市場概況
Ⅱ 取引参加者や仲介業者に求められる対応
Ⅲ 欧州における投資・ヘッジ目的の排出枠関連取引事例
Ⅳ 日本における今後の取引の発展に向けてのポイント

要約

  1. 国内におけるカーボンクレジット取引は相対取引が中心だったが、J─クレジットについては取引所取引が開始された。基準価格の形成のためには取引所取引の存在が重要である。一方で、取引所取引には制約もあり、特に個別性の高いカーボンクレジットは、取引所取引よりも相対取引の方が取引ニーズに応えられるケースがある。今後、さらにニーズに合わせた取引形態のすみ分けが進むだろう。
  2. 企業の取引参加に当たっては、取引戦略の策定や社内体制の整備や会計上の取り扱いの整理が必要となる。トレーディングを主たる業務としていない事業会社にとっては、自ら取引を行うか仲介業者のサービスを利用するかを費用対効果で検討する必要がある。
  3. 現状、国内における取引量は欧州などと比較すると限定的である。欧州では投資やヘッジ目的の排出枠関連取引も行われている。先物取引などの派生商品は、将来的な価格変動リスクへの対応や投資機会の拡大などのメリットがある一方、複雑な商品性のため十分な知識と経験を要する。
  4. 日本国内においても、投資やヘッジ目的の排出枠やカーボンクレジット取引の活性化のための取引手段高度化においては、健全な市場の発展を行うための法律や規制の整備もセットで検討される必要がある。取引参加への門戸を広げ、より多くの参加者が自由に取引できるようにするメリットと、取引の複雑化によるリスクを照らし合わせて、取引の発展段階に合わせて判断していくことが求められるだろう。

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執筆者情報

  • 末永 彩のポートレート
    名前
    末永 彩
    所属・職名
    金融ITイノベーション事業本部DX事業推進部
    シニアシステムコンサルタント

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