CONTENTS

Ⅰ 中小ビル市場の現状と社会的インパクト
Ⅱ 中小ビルオーナーのニーズと課題
Ⅲ 中小ビルのソリューション商流と異業種参入
Ⅳ 中小ビルのスマート化の課題と論点

要約

  1. 建物由来の二酸化炭素排出量が国家全体の約4割を占める中、日本のビル棟数の98%・延床面積の57%を「中小ビル注1」が占めている。ビル市場を取り巻く社会課題に対し、グリーン(脱炭素化)、デジタル(省人化・効率化、付加価値化)、ウエルビーイング(快適性向上、付加価値化)の3つの変革が求められており、本稿ではこれらを実現するための取り組みをスマート化と呼ぶ。変革実現を担うソリューション提供事業者は、近年大規模ビルのスマート化を推進してきたが、中小ビルのポテンシャルにも注目し始めている。
  2. しかし、中小ビル市場は大規模ビル市場に比べてスマート化に対する投資・技術導入が遅れ、伸び悩んでいる。その背景として、初期コストと運用負荷の高さ、多様な用途(アセットタイプ)ごとの煩雑な商流などが挙げられる。そして、十分な実証も進まず、効果検証に至らず、さらに導入が停滞するという負のスパイラルが続いている。
  3. 本稿では、中小ビルの現状と課題を踏まえ、スマート化実現に向けたブレイクスルーとなり得る、業種内外のアライアンス構築を軸とした4つの方策案を提言する(①小口・低価格化、②技術と営業の異業種アライアンス、③長期保守・成果報酬型スキーム、④官民連携のPoC~認証のエコシステム構築)。これらを通じて、中小ビル(オーナー)は低リスクで価値向上を実現し、事業者としても新たな収益源を獲得し、政府にとっては脱炭素目標の達成につながる、そのような共創の手段としてスマート化の積極導入を推進することを目指す。

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執筆者情報

  • 髙橋 祐樹のポートレート
    名前
    髙橋 祐樹
    所属・職名
    エネルギー産業コンサルティング部
    チーフコンサルタント
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    名前
    三浦 俊一
    所属・職名
    事業共創コンサルティング部
    シニアコンサルタント

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