CONTENTS
Ⅰ 機能×領域と階層(レイヤー)で捉える水ビジネスの全体像
Ⅱ 成長する海外水ビジネス企業と差を広げられる日本企業
Ⅲ 水ビジネス業界で求められる業界再編
Ⅳ 業界再編の実現に向けて求められる「企業改革」と「制度改革」
要約
- 2015年頃まで、日本では、当時の言葉でいう水メジャーに追いつけ追い越せという動きがあった。しかし現在、日本企業と海外企業との差はむしろ広がっている。海外企業の成長要因は複数あるが、主なものは、①レバレッジが効くビジネスモデルの構築、②その実現に向けたM&Aの積極的な実施、にあると考えられる。世界最大手のヴェオリアがライバルのスエズを130億ユーロで買収した案件などはその典型例である。資本効率のよいモデルで利益を稼ぎ、資金をM&Aに投じる好循環を形成しつつある。
- 水資源・水環境・水インフラについての課題は多数存在する。それらの課題を解決し得る、豊富な機能・人的資源・社外ネットワークを持つ企業の登場が求められる。そうした企業体を形成するためには業界再編は必須で、その過程で異業種企業にもチャンスが生まれる。再編の要素としては、①機能×領域軸の垣根を超えた水ビジネス企業の合従連衡、②ICT業界/ユーティリティ業界を巻き込んだレイヤー形成、③金融業界を巻き込んだインフラファンド形成、などがある。
- これまでも萌芽的な取り組みは存在していたが、業界全体を変革する規模では実践されなかった。その要因は、①過度なメーカー志向とそれを助長する企業内の諸制度、②投資リターンの予見性や資産の流動性を阻害する水道業界の諸制度、であった。これらを解消するために、民間企業の側では「エンジニアリング・事業運営に軸足を置いた体制・制度改革」、行政側では「投資・リターン予見性確保のための制度整備」や「プライマリー・セカンダリー市場の形成支援」が求められる。本稿では、水ビジネス業界の動向や事業機会を分析したうえで、上記の方策について提言する。
PDFファイルでは全文がお読みいただけます
全文ダウンロード(PDF:655KB)執筆者情報
-
- 名前
- 向井 肇
- 所属・職名
- エネルギー産業コンサルティング部
部長
-
- 名前
- 白神 遼太
- 所属・職名
- エネルギー産業コンサルティング部
コンサルタント
※組織名、職名は現在と異なる場合があります。
購読に関するお問い合わせ先
年間購読をご希望される方は、下記問い合わせ先へお願いします。
-
NRIフィナンシャル・グラフィックス
戦略マーケティング部
Tel:03-5789-8251(平日9:30~17:00) Fax:03-5789-8254※FAXでのお問い合わせは下記お申し込み用紙をご使用ください。
お申し込み用紙ダウンロード(236KB)