CONTENTS

Ⅰ はじめに:輸送力不足と脱炭素対応の二重苦に追われる物流業界
Ⅱ 物流分野におけるCO2排出量の見通し:2030年度目標に1760万t届かず
Ⅲ 目標達成に向けた施策:EVなどの車両技術のみでは不十分、サプライチェーン改革が必須
Ⅳ 荷主に求められる物流改革:物流起点の部門間・企業間連携に向けた体制・運用整備を
Ⅴ 必要となる行政の支援策:企業の自助努力を促すインセンティブの提供
Ⅵ おわりに

要約

  1. 物流業界は、トラックドライバー不足をはじめとする輸送力不足への対応に加え、2050年のカーボンニュートラル達成に向けた変革も課されている。2030年度には運輸部門全体でCO2排出量35%削減(2013年度比)が求められている。
  2. ところが運輸部門の貨物輸送分野では、2023年度時点で同10.1%の削減幅にとどまっている。筆者らの試算によると、成り行きでは2030年度時点で削減率約15%となり、目標値に対して約1760万tCO2不足する見通しである。
  3. 貨物輸送分野の脱炭素施策は多岐にわたるが、物流事業者が単独で取り組みやすい施策(EV導入など)を政府目標に準じて実装しても、削減目標に対し9ポイント不足すると推計された。目標到達には、共同輸配送やSCM高度化など、荷主の主体的な意思決定を伴う取り組みが不可欠といえる。
  4. このような荷主主導の改革を進めるには、CLO設置義務化を契機とし、物流部門が中心となって全社横断的なタスクフォースを組織し、データに基づくプロセス改善を着実に推進することが求められる。これらの取り組みは一朝一夕で結実するものではないため、早期に着手することが重要である。
  5. 脱炭素施策は必ずしも荷主や物流事業者にコストメリットをもたらさないため、インフラ投資や制度設計など、政府が企業を後押しする取り組みも求められる。

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    村井 智也
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