CONTENTS
はじめに:法定開示化が問いかけるもの
Ⅰ 投資家類型から読み解く非財務情報の評価メカニズム
Ⅱ 持ち合い解消と新たな長期資本が求めるレジリエンス
Ⅲ 企業価値向上に向けた非財務情報の2層アプローチ
Ⅳ CFO機能とIR機能の連携:内側の最適化と外側の媒介
おわりに:問いを投げる市場、解を創り出す企業
要約
- 有価証券報告書におけるサステナビリティ情報の法定開示化を背景に、非財務情報は企業の姿勢表明から、監査・検証を前提としたハードデータへと質的に転換した。IRの役割は、法的リスクと資本コストを同時に管理する、資本市場との財務的な交渉プロセスとして再定義されつつある。
- 非財務情報の評価や活用の仕方は運用スタイルによって異なる。パッシブ運用では、企業の開示情報は指数構成や議決権行使の判断基準として、一定のルールに基づき機械的に用いられる。一方、アクティブ運用では、将来のダウンサイドリスクやキャッシュフローの持続性を測るシグナルとして、企業価値評価に組み込まれる。
- 政策保有株式の解消が進む中、企業は中長期で企業価値を支える新たな長期資本の獲得を迫られている。先行きの不透明性が高まる中で、長期投資家は単一の成長計画の達成可能性よりも、環境変化に応じて戦略を転換できる「レジリエンス(適応力)」を重視しており、非財務情報はその証明手段となる。
- 企業に求められるIR機能は、市場の要求に最低限応える「ベースライン開示の徹底」と、事業環境の変化に伴う戦略的選択肢をオプション価値として示す「エクイティ・ストーリーの構築」の2層に移行する。財務を推進するCFO機能を補完し、世の中の不確実性を資本コストに反映させる媒介装置としてのIRへの進化が不可欠である。
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- 名前
- 飯野 正文
- 所属・職名
- 経営コンサルティング部
チーフコンサルタント
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