先日筆者は友人の勧めで生まれて初めて宝塚歌劇団の舞台を観劇した。舞台上のあらゆるものが華々しく、その耽美的な世界観にはただ圧倒されるばかりであったが、上演演目「壬生義士伝」はストーリーも大変面白いものであった。新撰組隊士「吉村貫一郎」の生涯を描いた物語の仔細をここで語る訳にはいかないが、特に興味深かったのは劇中での吉村貫一郎の描かれ方だ。極まった貧困の果てに盛岡藩を脱藩し新選組に入隊した吉村は、寒村に残す妻子への仕送りの金を稼ぐために汚れ仕事も厭わず、そんな彼を周囲は守銭奴とからかう。しかし、鳥羽伏見の戦いで錦の御旗を掲げた薩長軍を前に自軍が潰走していく中、「義のために戦ばせねばなり申さん」と叫んだ吉村は、自身の命も顧みずにただ一人押し寄せる敵軍に立ち向かうのである。

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  • 須貝 悠也

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