小さい頃は小説があまり好きではなかった。アニメや漫画に比べると白い紙に黒い文字が並んでいるだけの小説はいかにも地味で、味気のない文字の並びを渋々ながらに追いかけた記憶がある。しかし、世の中には小説がカラフルに見える人がいる。頭の中で小説世界の情景をありありと思い描ける、といった読み手の豊かな想像力の比喩ではなく、実際に文字に色が付いて見えるのだ。この感覚は「共感覚」と呼ばれ、文字に色が付いて見える他、音を聞くと色を感じる、言葉を見ると臭いを感じるなど、様々なパターンが確認されている。物事に対する経験からイメージが連想されるのではなく、通常とは異なる知覚が実際に呼び起こされるのである。

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  • 須貝 悠也

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