東南アジア諸国連合(ASEAN)では、新型コロナのパンデミックからの出口戦略として、貿易投資の拡大や広域経済統合に加え、サステナビリティやデジタルトランスフォーメーション等を軸にした包括的な成長戦略「ASEAN包括的復興枠組み」を2020年11月に打ち出した。主要加盟国も、グリーンやデジタルに力点を置いた新たな方向性を打ち出したが、米中対立やウクライナ紛争などの地政学リスク、さらには、世界的なインフレの加速などが、グローバル化の恩恵を受けてきたASEANの成長モデルに影を落とし始めた。各国が自国の課題解決を優先し、資源や再生エネルギーの輸出を禁止するなど内向きになりつつある。アジア開発銀行の2011年のレポートでは、2050年にはアジアが欧州並みの経済圏となる「アジアの世紀の実現」の可能性がある一方、中進国のわな、紛争、金融混乱、気候変動など成長を大きく損なう「パーフェクトストーム」の発生というシナリオも描かれていた。今後、ASEANが持続的な成長を実現するには、このシナリオに描かれた広範な課題を解決していくことが求められている。
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