近年、金融機関における生成AIの導入が進展し、活用率を積極的に公表する動きが広がっている。しかし、表面的な活用率の高さとは裏腹に、生成AI特有の課題や金融機関特有の障壁により、現場での定着に課題を抱えるケースも見られる。たとえば、月間アクティブユーザー率（MAU）は、実際の利用件数や利用頻度を反映しないため、活用の実態が把握しにくい。そこでNRIの支援プロジェクトでは、活用率と活用度合いの2軸で各部署の状況を可視化した上で、ヒアリングを通じて定着プロセスを分析した。本稿では、現場定着を阻む障壁を「認知の壁」と「行動の壁」に整理して紹介する。