昨今、ファンドのリスク度合いを表す、リスク指標への関心が高まっております。2012年に金融庁が立ち上げた「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ」では、重要なテーマの一つとして、統一的なリスク指標の導入とその開示方法について議論が行われました。ワーキング・グループでは、欧州がUCITS Ⅳの一環として導入したリスク指標、SRRI(Synthetic Risk & Reward Indicator)が参考に挙げられましたが、わが国へそのまま当てはめることには、いくつかの問題を指摘する意見もあります。
本ニュースでは、NRIが2000年から投信評価機関として客観的な立場で評価、算出している、ファンドのリスク指標”Fundmark/RL”(ファンドマーク・リスク・レベル、略称アール・エル)についてご案内致します。
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1.“Fundmark/RL”とは
Fundmarkの投信分類は非常に細かく分類されており、約300の分類(カテゴリ)を有しています。リスク特性(リスクの性質や大きさ)が同じ投信間で比較を行うことによって、評価結果の信頼性が高まると考え、このリスク特性を考慮して、多くのカテゴリを有する分類体系を作り上げました。この結果、投信がどのカテゴリに属しているかがわかれば、その投信が、どのようなリスク特性を持っているかを把握することが可能となっています。“Fundmark/RL”は、この細かな分類毎のリスクの大きさを表す指標で、分類中の一般的な投信のリスクの大きさを表しています。
2.“Fundmark/RL”決定ルール
“Fundmark”では、カテゴリ毎のリスクを5段階(RL1~RL5)で表示します。RL(リスク・レベル)は、過去の実績を基にNRIのファンドアナリストとクオンツアナリストの判断によって決定致します。
(1)“Fundmark/RL”の定義
定義 | ||
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RL1 | 安定性重視タイプ | 実質的に元本・利回りの安定性を確保することを目標として運用しているもの |
RL2 | 値動きの小さいタイプ | 年率リスクが5%以下 |
RL3 | 値動きが中程度のタイプ | 年率リスクが5%超かつ15%以下 |
RL4 | 値動きが大きいタイプ | 年率リスクが15%超かつ30%以下 |
RL5 | 値動きが最も大きいタイプ | 年率リスクが30%超 |
(2)年率リスクの算定
追加型投信のカテゴリ(小分類と為替ヘッジのタイプによる分類)毎に、カテゴリのパフォーマンスを代表する指数を決定します。この指数について過去10年間の月次変化率の標準偏差を年率換算する事によって、年率リスクを決定します。
(3)“Fundmark/RL”の決定
- (2)で求めた年率リスクを基に、最終的に、NRIのファンドアナリストとクオンツアナリストの判断によって“Fundmark/RL”を決定致します。
- 海外株式、海外債券、海外ハイブリッド型のうち、為替ヘッジを機動的に行うタイプのカテゴリについては、このパフォーマンスを表す代表的な指数が存在しないため、一律に、為替ヘッジを行わないタイプの“Fundmark/RL”と同じと判断します。
- その他、パフォーマンスを表す代表的な指数が存在しないカテゴリについては、Fundmarkファンド・パフォーマンス・インデックスを参考に“Fundmark/RL”を決定致します。
(4)“Fundmark/RL”の見直し
毎年見直しを行います。見直しに当たっては、直近までのデータを基に(2)、(3)のプロセスを経て決定致します。
3.“Fundmark/RL”利用上の注意
- RL(リスク・レベル)は、Fundmark分類のリスクを最もリスクの小さいRL1から最もリスクの大きいRL5まで5段階にリスクを評価した指標です。RL(リスク・レベル)は、野村総合研究所がFundmark分類毎にベンチマークとして定めた代表的なインデックスの過去のリスク(収益率のぶれ)を基に決定しています。
- RL(リスク・レベル)は個々の投資信託のリスクを評価したものではありません。従って、個々の投資信託の過去のリスクが、当該ファンドの分類に付されるRL(リスク・レベル) が表すリスク水準と合致しない場合があります。
- またRL(リスク・レベル)は過去の一定期間の実績を基に分析したものであり、将来の運用成果等を約束したものではありません。
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