2020年10月に発足した菅新政権は、デジタル庁の設立を大きな政策の柱として打ち立てた。新型コロナウイルス対策において、社会が十分にデジタル化されていないことが、様々なコロナ対策の遅れ、あるいは非効率化を生み出したことが背景の一つである。野村総合研究所(NRI)は2019年に、日本の社会がどの程度デジタル化しているのかを可視化するための指標、DCI(デジタル・ケイパビリティ・インデックス)を開発した。これは欧州委員会(EU)が毎年加盟国向けに作成しているDESI(デジタル経済社会インデックス)を参考にしたもので、日本の都道府県別にデジタル度を数値化している。

2020年1月に算出したDCIと同7月に算出したDCIを比較すると、多くの都道府県でDCIスコアが大きく上昇していて、今回のコロナ禍は日本のデジタル化を短期間に大きく進めたことがわかる。デジタル政策を推進するにあたっては、DCIのような指標でデジタル度を可視化し、それを経時的にモニタリングすること、そしてデジタル化が経済活動の活性化、および市民のウェルビーイング向上につながっているかを確認することが重要である。

執筆者情報

  • 森 健

    未来創発センター

    上席研究員