概要
2040年に我が国の高齢者人口はピーク を迎えます。そして2025年4月1日から、企業には65歳まで雇用を確保する義務と、70歳まで就業機会を確保する努力義務が生じることから、60歳以上の雇用者数が急増し、企業の人件費負担が重くなります。そして60歳以上の雇用者は、産業構造の変化により、今まで通りの業務を続けることや希望する仕事を得ることが難しくなると予想されます。そこで企業には、60歳以上の雇用者に対する勤務日数の調整や働き方の柔軟化が、より一層求められることになります。この度、野村総合研究所(NRI)は、2025年1月、全国の50~59歳の男女計2,000人を対象に「50代正社員の60歳以降の就業意向に関するアンケート調査」を実施し(調査概要は末尾参照)、分析をしました。
【要約】
- 50代の正社員で60歳以降に「仕事をする」「おそらく仕事をする」と回答した人は74.2%、「どちらともいえない」と回答人は14.6%である。
- 60歳以降、仕事をする可能性がある人のうち、仮に週5日勤務で給与が今の50%になっても現在の勤務先で「仕事をする」「おそらく仕事をする」と回答した人は41.8%、週3日で給与が30%になっても現在の勤務先で「仕事をする」「おそらく仕事をする」と回答した人は30.1%である。
- 週3日勤務になったら残りの日で「別の仕事(収入が得られるもの)」をすると回答した人が33.2%いることから、勤務日数と給与が減ることを受け入れつつも、副業をすることで追加の収入を得ようとする人が多数いることが示された。
- 60歳以降、週3日勤務に加えて副業すると回答した人の36.2%が、仕事を掛け持ちする条件や手続きの緩和を、現在の勤務先に求めている。
- 60歳以降に仕事をする可能性がある人のうち約3割の人は、週3日勤務で給与が今の30%になっても現在の勤務先に残ることが確実なことから、企業は週3日勤務と副業の推奨を有力な選択肢として検討すべき。

企業に求められるシニア人材向け副業対策
執筆者情報
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- 執筆者
- 広瀬 安彦
- 部署
- 未来創発センター
- 所属・職名
- エキスパート研究員
レポートに関するお問い合わせ
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株式会社野村総合研究所 コーポレートコミュニケーション部
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