（株）野村総合研究所では、厚生労働省の補助金を受けて、老人保健健康増進等事業・社会福祉推進事業として下記の調査研究を実施しました。
調査研究にご協力くださった皆様に感謝申し上げるとともに、ここに報告書を掲載いたします。

【老人保健健康増進等事業】

令和6年度老人保健事業推進費等補助金を受けて、下記の6つの調査研究事業を実施しました。

①高齢期の虚弱や骨折予防に重点を置いた医療と介護を通じた予防事業の有効な展開のための自治体支援等に関する調査研究事業

本調査研究では、「通いの場」において従来のフレイルチェックリスト等に加えて、骨折リスクの評価ツール（FRAX）を新たに活用するモデル事業を実施するとともに、骨折リスクの高い者への効果的なアプローチの方策等について検討しました。また、KDBデータ等を有効に活用し、虚弱、骨粗鬆症、骨折等の実践的な予防プログラムの構築に向けて検討するとともに、「通いの場」の活用等を通じて、フレイル予防を軸として産学官や多様な主体が連携・協働する取組み等についても検討しました。

②第10期介護保険事業（支援）計画を見据えた一般介護予防事業等の充実を図るための課題整理に関する調査研究事業

本調査研究では、通いの場等をはじめとした介護予防に資する取組の更なる推進、また、地域包括ケアの深化・増進に寄与することを目的として、市町村・都道府県に対する悉皆調査を実施し、一般介護予防事業等の現状把握及び課題整理を行ったうえで、その対応策等を検討するとともに、効果的な事例等について収集・整理しました。

③在宅医療・介護連携事業の有効的なあり方にかかる調査研究事業

本調査研究では、在宅医療・介護連携推進事業に係る過去の調査研究等の成果等を分析し知見を取りまとめるとともに、入退院支援、日常の療養支援、急変時の対応、看取り、認知症の対応、感染症発生時や災害対応時等それぞれの好事例についても調査し、令和5年度介護保険法改正や令和6年介護報酬改定事項等も踏まえた「在宅医療・介護連携推進事業の手引きVer．4」のを作成しました。

④在宅医療・介護連携推進事業における都道府県・市町村連携及びコーディネーターの有効な在り方に関する事業

本調査研究では、在宅医療・介護連携推進事業に係る過去の調査研究等の成果等を分析し知見を取りまとめるとともに、在宅医療・介護連携推進事業におけるコーディネーターの業務プロセスなどを整理・体系化し、先進的な取組を行っている自治体へのヒアリング等を実施した上で「在宅医療・介護連の推進に係るコーディネーターの活用ハンドブックー市町村、都道府県、コーディネーターに向けてー」を作成しました。

⑤地域の関係機関が有する認知症の人に関する情報の共有・連携のあり方に関する調査研究事業

本調査研究では、地域の関係機関が相互に連携していくために、個人情報の共有や連携の在り方について、どのようなニーズや課題があるのかを実態調査するとともに、実際に連携や共有が行われている好事例を調査し、個々の主体において把握する情報の共有化を推進する仕組みと情報共有のあり方について検討しました。

⑥成年後見制度利用支援事業の推進に関する調査研究事業

本調査研究では、市町村が実施する市町村長申立ての実施状況や課題の把握、成年後見制度利用支援事業の利用実態や課題等を把握することで、成年後見制度の利用促進に繋がる支援事業のあり方を検討しました。

【社会福祉推進事業】

令和6年度生活困窮者就労準備等支援事業費補助金を受けて、下記の1つの調査研究事業を実施しました。

①医療扶助等における都道府県による援助等の推進に向けた調査研究事業

本調査研究では、医療費適正化計画やデータヘルス計画等も参考に、都道府県が、健康・医療に関するデータに基づき管内市町村の課題分析を行い、その結果を踏まえ、効果的な市町村支援を行うことができるようにすることを目的とし、分析すべき全国共通のデータ項目の在り方や、目標設定の在り方、PDCAサイクルを踏まえた都道府県の取組内容等を検討しました。検討にあたっては学識経験者及び自治体担当者で構成される検討委員会を設置し、検討方針について意見を伺いました。