気候変動による気象災害の激甚化は、もはや避けて通れない現実となっている。豪雨災害の頻度は年々増加し、社会経済への影響は拡大の一途を辿っている。年間豪雨発生回数の推移と将来予測を見れば、極端な降雨現象が過去から現在、そして未来にかけて加速度的に増加していることが明らかである。地球温暖化は大気中の水蒸気量を増加させ、その蓄積が突発的かつ激甚な豪雨となって降り注ぎ、河川の氾濫や土砂災害を引き起こす(下図参照)。

国際社会はパリ協定などの枠組みのもと、気温上昇の抑制を目指してきたが、既に観測値はその目標を上回る水準に達しつつある。気温上昇に歯止めがかからない状況が続けば、気象災害の激甚化は予想を超えて進展する可能性がある。

加えて、都市化の進展や社会構造の変化も影響し、災害脆弱性は一層高まっている。現在は想定外の豪雨が各地域に繰り返し襲いかかる時代を迎えている。年間豪雨発生回数の過去から将来への推移は、止めることのできない気象災害の激甚化を象徴しており、日本社会が直面する災害リスクの現状を端的に示している。

年間豪雨発生回数の推移と将来予測、および近年の気象災害

年間豪雨発生回数の推移と将来予測、および近年の気象災害

出所)「全国(アメダス)の1時間降水量50mm以上の年間発生回数」気象庁より作成
注)「2076年~2095年平均480回」は1980年~1999年の年平均発生回数に2を乗じて算定

関連レポート

[Featured Charts]
豪雨発生が倍増!?過去・現在・未来の警告

こちらから本レポートをダウンロードいただけます

全文ダウンロード(PDF:642KB)

執筆者情報

  • 執筆者
    浅野 憲周
    部署
    未来創発センター 地域創生・環境研究室
    所属・職名
    チーフエキスパート

お問い合わせ先

NRI 未来創発センター研究レポート担当