株式会社野村総合研究所
NRIみらい株式会社

概要

障害者[1]雇用を取り巻く経営環境は、かつてない速さで変化しています。2026年7月には法定雇用率が2.7%へ引き上げられ、企業は単なる人数確保にとどまらず、雇用した障害者一人ひとりが「価値を生み出せる」環境を整えることが急務となりました。少子高齢化による労働力不足が深刻化するだけではなく、AIの急速な普及など、これまで制度や習慣としてきた働き方を大きく見直し、あらゆる人材が活躍できる前提で組織を再設計する必要があります。さらに世界へ目を向ければ、米国ではトランプ政権の誕生を機にD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)政策が揺り戻しの局面を迎え、企業は自社のスタンスを改めて問い直す状況に直面しています。
こうした環境変化を受け、「法定雇用率を満たすだけ」の時代は終わりを迎えようとしています。多様な能力を活かし、ビジネス価値へ転換する仕組み、すなわち経営戦略と連動した障害者雇用こそが、企業競争力を左右する時代が到来しています。とりわけ日本独自の制度である「特例子会社」は、支援ノウハウや高度なマネジメント手法を蓄積してきた強みを備えているといえます。
NRIグループでは、2015年度から毎年「障害者雇用に関する定点調査」を実施してきました。11回目を迎える本年度は、「10年後の障害者雇用のあり方」をテーマに掲げ、長年にわたり蓄積したデータと有識者ヒアリングから得た洞察をもとに、私たちが描く障害者雇用の未来像を提示いたしました。
第1部では、11年分の定点データを時系列で分析し、雇用の量と質の変化、職域拡大、働く環境の変化に関する長期的な潮流を洞察しました。第2部では、こうした知見を踏まえ、企業を取り巻く環境変化を手掛かりに2035年の障害者雇用の果たす役割を描き、企業価値創造との接点を深掘りした内容を報告しました。
また、本調査結果は2025年12月2日に開催したセミナー「2035年を視野に入れた障害者雇用の価値創造戦略 ~企業成長に向けて取り組む、日々の努力と挑戦を原動力として~」にて、民間企業の人事担当者、特例子会社の経営層・マネジメント層、支援機関・特別支援学校の関係者など、350名を超える皆様に報告・解説を行いました。

  1. [1]本文中の漢字表現は、障害者に関する法律を参考にして記載しています。

2035年を視野に入れた障害者雇用の価値創造戦略

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執筆者情報

  • 執筆者
    若林 城将
    部署
    ヘルスケア・サービス産業コンサルティング部
  • 執筆者
    田中 曜子
    部署
    ヘルスケア・サービス産業コンサルティング部
  • 執筆者
    中村 綾
    部署
    ヘルスケア・サービス産業コンサルティング部
  • 執筆者
    宮本 真吾
    部署
    ヘルスケア・サービス産業コンサルティング部
  • 執筆者
    小松 康弘
    部署
    NRIみらい株式会社
  • 執筆者
    足立 興治
    部署
    NRIみらい株式会社
  • 執筆者
    山口 綾子
    部署
    NRIみらい株式会社
  • 執筆者
    福田 真希
    部署
    NRIみらい株式会社
  • 執筆者
    長谷川 陽子
    部署
    NRIみらい株式会社
  • 執筆者
    山根 典子
    部署
    NRIみらい株式会社

本件調査の担当

「障害者雇用に関する調査」事務局

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