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なぜドイツでは新型コロナワクチン接種普及に苦戦しているのか

~3つの大きな課題(ワクチン供給・硬直的な接種体制・接種拠点)の存在が接種の遅れに影響を及ぼす~

2021/04/15

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概要

ドイツはパンデミックの初期段階では成功例とみなされていたが、ワクチン配布・接種はこれまでのところ、全く成果を上げていない。
2021年3月末時点で、ドイツの新型コロナワクチン配布・接種のキャンペーンは失敗していると言われている。ワクチン接種のペースは遅く、ワクチンは集団接種サイトにのみ配送されている。厳格な優先順位制のためにワクチン接種の対象者はほとんどいない。しかも、ワクチン接種を実施する各州の現場では十分な計画が立てられていなかった。
この様な状況に、国民の間では政府の対応への不満が高まっている。ドイツ国営放送ARDの調査によると、ドイツ人の73%が政府のワクチン配布・接種プロセスに満足していないことが明らかになった。この様に、ドイツがワクチン接種普及に苦戦している理由としては、①ワクチン供給(ワクチンは2021年3月時点で全て輸入に依存しており、かつその大半を占めるAstraZenecaのワクチンに対して必ずしも国民の信頼を得ていない事)、②硬直的な接種体制(優先順位付けプロセスが複雑で厳格である事、一元化された配布プロセスに時間がかかっている事、ワクチン記録がデジタル化できず紙ベースである事)、③接種場拠点(接種は専用ワクチン接種センター等に限定)、等がある。ドイツは経済規模、人口の何れにおいても日本と同程度の国であり、ドイツが直面した課題を踏まえた対応を行う事が、今後接種が本格化する日本にとって望ましいと言える。なお、本報告は2021年3月末時点の情報に基づいており、今後ドイツにおいても上記課題が解決され接種が進むことを期待したい。

執筆者情報

  • 未来創発センター 制度戦略研究室

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