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【国内株式】東証市場再編の概要と対応方針について

2021/02/05

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東京証券取引所(以下、東証)は、2020年12月25日に既存の4市場を廃止し、新たに3市場を開設する(東証市場再編)ことを検討していると公表しました。本件に関するパブリックコメントの期間は2020年12月25日から2021年2月26日であり、その後成案が公表される見込みとなっています。この公表を受けて、IDSでは対応方針を検討中です。

本ニュースでは、東証市場再編の概要とIDSで検討している対応方針をお知らせします。

1.東証市場再編の概要

市場再編の背景

そもそも今回、市場再編発表になぜ至ったのでしょうか。それは近年、現在の市場構造において改善すべき課題が顕在化してきたためです。金融庁での議論では主に以下の3つの課題が挙げられています。

  1. 各市場区分のコンセプトが曖昧。特に市場二部、マザーズ及びJASDAQは位置付けが重複。
  2. 上場会社の持続的な企業価値向上の動機付けが不十分。市場一部へのステップアップや上場廃止等に係る基準が低いことなどが要因。
  3. 投資対象としての機能性と市場代表性を兼ね備えた指数の不在。多くの機関投資家がベンチマークとしているTOPIXが、市場第一部全ての銘柄で構成されているため、TOPIX連動インデックス投資により、時価総額や流動性の低い銘柄の価格形成に歪みが生じている懸念あり。

今回の市場再編の目的は、新たな市場構造にすることでこれらの課題を解消し、上場企業の企業価値の向上を促すことです。

市場再編に向けた議論と改正事項発表の経緯

現在の市場構造における課題の顕在化により、様々な議論がなされた結果として、今回の市場再編発表に至りました。議論と改正事項発表の経緯の概要は以下の通りとなります。

<市場再編に向けた議論と改正事項発表の経緯>

日付 概要
2018年10月-12月 JPXにて、有識者を委員とする「市場構造の在り方等に関する懇談会」が設置されました。市場構造の在り方等と今後の検討の進め方等が議論されました。
2019年4月~12月 金融庁にて、今後の市場構造の在り方について、有識者から提言を得ることを目的として、金融審議会「市場構造専門グループ」が設置されました。
現在の市場構造における課題の確認と、改善に向けた具体的な提案がされました。その結果、今後の具体的な市場区分案等が記載された報告書が公表されました。
2020年2月 「市場構造専門グループ」からの報告書をもとに、東証が新市場区分の概要等を公表しました。
2020年7月 市場区分再編に係る第一次制度改正事項が公表されました。内容は、市場再編を見据えて、現行の新規上場、上場廃止の基準等の見直しでした。
2020年12月 市場区分再編に係る第ニ次制度改正事項が公表されました。内容は、新市場区分の上場基準や新市場区分への移行プロセス等についてでした。現在パブリックコメントが実施されています。(2021年2月26日まで実施。)
2021年春 (予定) 市場区分再編に係る第三次制度改正事項が公表される予定です。内容はコーポレートガバナンス・コードの改定等とされています。

市場再編の内容と影響

市場再編により、市場区分とTOPIX等指数の見直しが実施される予定です。

①市場区分の見直し

2022年4月4日付で、現在の市場区分(東証1部、東証2部、マザーズ、JASDAQ)が「プライム市場」、「スタンダード市場」、「グロース市場」の3つの市場区分に見直しされます。

<市場区分の見直し>

※上図は東証発表資料より抜粋して改変

これに伴い、主に以下の点が変更となる予定です。

  • 上場審査における形式基準の変更。例えば、流動性の観点として株主数、流通株式時価総額等、経営成績の観点として利益額等の数値基準変更等。なお、市場再編を見据えて2020年11月1日より現行の市場区分での上場審査における形式基準が変更されており、すでに新市場区分と同等のものとなっております。
    (影響)現行の形式基準を満たすために実施されていたコーポレートアクションの減少や新しい形式基準を満たすために実施されるコーポレートアクションの増加が想定されます。
  • 市場区分間の移行に関する緩和基準の廃止と上場維持基準の変更。市場区分間の移行や上場維持基準は新規上場基準と同等となります。なお、2020年11月1日より現行の市場区分におきまして、市場区分間の移行に関する緩和基準は廃止されています。
    (影響)企業は各市場に上場した後も企業価値向上にこれまで以上に取り組むことが想定されます。
  • 流通株式の定義の変更。現行制度では上場株式数の10%以上所有する場合に限り流通株式から除外されていますが、これに加えて10%未満の場合でも国内の普通銀行、保険会社及び事業法人等が所有する株式や役員以外の特別利害関係者の所有する株式が流通株式から除外されます。
    (影響)流通株式数を増加させるためのコーポレートアクションの増加が想定されます。

なお、変更の詳細はJPXホームページの「市場構造の在り方等の検討」(以下URL)のページにございます「市場区分の見直しに向けた上場制度の整備について(第二次制度改正事項)」をご参照下さい。

・市場構造の在り方等の検討
https://www.jpx.co.jp/equities/improvements/market-structure/index.html

②TOPIX等指数の見直し

市場区分の見直しに伴い、現行指数の一部は算出終了し、新たな指数が算出開始されます。またTOPIXは引き続き算出されますが、算出ルールが変更となります。TOPIXの主な算出方針は以下の通りとなる予定です。この変更により、TOPIXの投資対象としての機能性向上につながると想定されます。

  • 市場区分との切り離し。現行は東証1部所属の銘柄のみが組入れられておりますが、市場再編施行日である2022年4月4日前営業日時点のTOPIX構成銘柄が継続採用されるため、様々な市場に所属する銘柄が組入れられた状態となります。
  • TOPIX構成銘柄の基準を満たさない銘柄の段階的ウエイト低減。基準を満たさない銘柄については、浮動株比率を段階的に引き下げることで構成比率を引き下げられます。判定日において基準を満たさないと判定された銘柄については、2025年1月最終営業日に構成銘柄から除外されます。

なお、変更の詳細はJPXホームページの「TOPIX(東証株価指数)等の見直しについて」(以下URL)のページをご参照下さい。

・TOPIX(東証株価指数)等の見直しについて
https://www.jpx.co.jp/markets/indices/governance/index-consultation/20201225-01.html

2.IDSでの対応方針

今回の制度改正によるIDSサービスへの詳細な影響内容・範囲につきましては、現在取引所等と積極的に連絡を取りながら鋭意調査中となります。IDSサービスへの影響は広範囲に渡るものと想定されていますが、本ニュースでは、最も大きな影響を受けるサービスである「銘柄属性」における対応方針につきまして、お知らせします。「銘柄属性」の対応方針は以下に述べます通り、2案検討しております。今後も銘柄属性以外のサービスへの影響等も含め、検討状況につきまして随時ニュースやアナウンスの形式でお知らせさせていただきます。

①銘柄属性における対応案 1

東証市場区分のアイテムにつきまして、影響のある現行コードの一部を廃止せずに残して、新市場区分に対して現行コードを引き継いで利用致します。

<対応案1:現状のコードを引き継ぐ>

②銘柄属性における対応案 2

東証市場区分のアイテムにつきまして、影響のある現行コードは廃止し、新市場区分に対して新規コードを設定致します。

<対応案2:新規コードを設定>

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