概要

2022年はWeb3.0元年と呼ばれ、WEB3.0時代の新しいプラットフォームとして、「DAO（Decentralized Autonomous Organization）」が登場した。従来型の大手プラットフォーマーは我々の生活に欠かせない社会インフラとなったが、昨今の社会情勢やユーザの価値観の変化から、新たな類型のプラットフォームが生じている。DAOに代表されるWeb3.0型プラットフォームは、「一社主導」「集中管理」の従来型プラットフォームに対し、「ユーザの参加促進」「分散技術の導入」という2つの新たな特性を兼ね備えている。DAOは、経済合理性を追い、オンライン中心に拡大する従来型プラットフォームとは異なり、リアル中心の事業者や個人など幅広いユーザを巻き込み、外部不経済の解消、持続可能性と経済合理性の両立を実現する可能性を持っている。

2023年現在、DAOはITリテラシーが高い数％の人々が主導しており、従来型プラットフォームのように一般の生活に浸透するまでには遠いと思われる。一方、DAOが時代の最先端を行くプラットフォームであるとすれば、その特性を完全に備えず、一部のみを有する中間的なものであっても、運営のメリットや目的が伝われば、参加したい、参加できると思う生活者は多いのではないだろうか。そこで、NRIは、現在萌芽的に登場しているDAOの特性や類型を要素分解し、Web3.0型を含む次世代型プラットフォームとして具体的に何が求められており、社会的にどのような利益をもたらすのかを明らかにしたにするため、（生活者1,016人を対象としたインターネットアンケート調査を実施）。

プラットフォームは多様化の一途を辿っており、新たな考え方や技術を取り入れながら進化している。そして、DAOを含む新しいプラットフォーム（次世代型プラットフォーム）は、現代の生活者に訴求するのみならず、地方創生や地域活性化など、ローカルな社会課題の解決に向けて個々人を主体的に動かすポテンシャルを持っていると思われる。行政や事業者は、多様化するプラットフォームを受容しつつ、行政および事業者自身の参入や参画を前向きに捉えられたい。