株式会社野村総合研究所(以下「NRI」)が開発した、顧客ロイヤルティの調査分析手法「CXMM」 1 で中核的要素の一つとしている「CX(カスタマー・エクスペリエンス:顧客経験価値)指標」が、株式会社格付投資情報センター(以下「R&I」)が行っている「顧客本位の投信販売会社評価」の投資家向けのアンケート調査 2 で採用されることになりました。今後は、R&Iが当該テーマに関して行うアンケート調査で、顧客ロイヤルティを測定する指標 3 の一つとして活用されます。
2017年3月に、金融庁から「顧客本位の業務運営に関する原則」 4 が公表されました。その後、金融機関による不適切な行為が社会問題化したことなどを受けて、金融業界では「顧客本位の業務運営」を経営課題の一つとして、徹底して取り組む重要性が一層高まっています。NRIでは「顧客本位の業務運営」とは「CX経営」 5 であると捉え、2018年の下期に「CXMM」を開発しました。
CXMMには以下の3つの特長があります(特許出願中 6 )。
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(1)
顧客ロイヤルティの測定結果の信頼性を損なうノイズ 7 を、相互に緩和・相殺し合う三つの指標を組み合わせることで、常に安定した結果が得られる「CX指標」を開発・採用
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(2)
この「CX指標」は国内金融機関の収益との間に強い相関があることが、CXMMを採用した金融機関15社にて実証済み
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(3)
企業が顧客に提供するさまざまな価値が「CX指標」にどのような影響を与えるかについて、期待不確認モデル 8 を用いて、「期待」と「評価」で定量的に測定・分析
R&Iでは「顧客本位の業務運営」の重要性をいち早く予見し、2018年12月17日以降、投資信託の販売における銀行や証券会社の「顧客本位の業務運営」に対する取り組みを、中立的な第三者の立場から客観的に評価する「顧客本位の投信販売会社評価」を公表しています。この度、CXMMの特長の一つに掲げたCX指標が、「顧客本位の業務運営」の確立と定着を図る指標の一つになり得ると評価され、R&Iが実施している投資家向けのアンケート調査で活用されることになりました。
NRIは今後も、金融業界の「顧客本位の業務運営」を確立、定着させ、「CX経営」の実現に寄与していきます。
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1
『野村総合研究所、日本の金融機関向けに「顧客本位の業務運営」の測定指標と管理手法を開発』
https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/lst/2019/cc/0903_1 -
2
投資信託等を保有している投資家を対象に、取引金融機関の顧客本位の業務運営に関する質問をするアンケート調査
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3
顧客ロイヤルティとは「顧客の企業に対する愛着や感情的な満足」のことであり、それを定量的に測定することを可能にする指標を顧客ロイヤルティ指標と呼ぶ
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4
金融庁 報道発表資料『「顧客本位の業務運営に関する原則」の確定について』
https://www.fsa.go.jp/news/28/20170330-1.html -
5
「CX経営」とは、収益と相関が強い顧客ロイヤルティ指標を経営指標の1つとし、顧客ロイヤルティ指標を高めることを最重視した(経営資源を最優先する等)経営のこと
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6
CX指標から期待不確認モデルを利用して、改善ポイントを確認するところまでの一連の調査分析方法に対して、特許出願中
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7
顧客ロイヤルティとは関係がない理由で付けたスコア
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8
米国の経済学者リチャード・オリバー(Richard L.Oliver)が提唱した「Expectation(事前期待)」と「Performance(結果の評価/効用)」を測定して比較する理論で、顧客が何に期待しているのか、その期待に応えられていない項目は何かを定量的に把握することが可能
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