株式会社野村総合研究所(以下「NRI」)は、2024年6月、資産運用会社向けに提供する有価証券の受発注管理システム「SmartBridge Advance(以下「SBA」)」 1 において、MarketAxess 2 社が運営する債券電子取引プラットフォームとの接続機能(以下「本サービス」)の提供を本格的に開始しました。MarketAxess社はグローバルに同プラットフォームを運営しているため、本サービスの利用会社は世界中の有力な証券会社や債券投資家との取引が可能となり、より広範囲なマーケットにアクセスできます。SBAを利用している大手資産運用会社の3社が、既に本サービスの利用を開始しています。
本サービス提供の背景
一般的に、債券は種類や銘柄が非常に多いため、株式のように取引所で売りと買いの注文を付け合わせて自然に売買を成立させることが困難です。資産運用会社が債券取引を行う際、価格照会のために複数の証券会社に電話やチャットなどで問い合わせる必要があり、非常に手間のかかるものとなっていました。
しかし近年、債券電子取引プラットフォームが登場したことにより、上記のプロセスをすべて電子的に行えるようになるなど、資産運用会社にとっても業務効率化が進み、高い流動性の確保や強化される規制への対応などを進めることが容易となりました
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本サービスの主な特長
MarketAxess社は、世界最大級の債券電子取引プラットフォームを提供しています。米国投資適格債券の取引に強みを持ち、2023年は同プラットフォームで1.46兆米ドル(前年比7%増)の取引が行われました。また、本サービスを利用する資産運用会社は、以下のような有益な機能も活用できます。
(1)証券会社への価格照会から取引成立までのプロセスを完全自動化
事前に自動執行を稼働させる時刻や売買成立の条件などを設定しておくことにより、所定の時間に証券会社に自動的に価格照会のリクエストを送信し、約定の成立まで実行します。この機能を利用することで、例えば米国銘柄の価格照会から約定までのプロセスを、日本の夜間に米国の現地の証券会社に対してリクエストし、取引を成立させることが可能となります。
(2)広範囲なマーケットから価格照会が可能となる「OpenTrading」機能
通常の価格照会のリクエストは、既存の取引先である証券会社を指定して行いますが、この機能を使うことで、同プラットフォームを利用する他の参加者から匿名で応答を受けることが可能となります 4 。証券会社に加えて資産運用会社からも価格照会を受けられるため、広範囲なマーケットにおいての最適な債券取引が可能となります。
NRIは今後も、資産運用業界を支援するさまざまなサービスを提供し、資産運用会社の業務効率化・高度化に貢献していきます。
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1
資産運用会社におけるファンドマネージャー業務やトレーディング業務などのフロント業務全般を、バックオフィス業務と連携して支援するNRIのシステムソリューション: https://www.nri.com/jp/service/solution/fis/smartbridge_advance
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2000年に設立された、S&P500採用銘柄の企業です。: https://www.marketaxess.com/
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日本における債券電子取引の普及状況や電子取引の意義については、次のレポートをご参照ください。: https://www.marketaxess.com/explore/nri/coalition-greenwich-japan-white-paper-japanese
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取引相手は売り手も買い手もMarketAxess社となります。