株式会社野村総合研究所(以下「NRI」)は、メタバース空間に構築した学習プログラム「資産運用キャンパス」1(以下「本プログラム」)を社会人向けに活用する実証実験を、2025年7月から開始します。金融教育の中でも投資信託を題材として資産運用を学べる本プログラムは、確定拠出年金などの運用を行う企業の従業員にも学習効果があることが期待され、将来に向けた資産形成への一歩を踏み出すきっかけとなるとNRIは考えています。また、本プログラムを導入した企業は、楽しく学びながら専門性の高い知識を得ることができる講座を従業員向けに提供することで、福利厚生の一環としての確定拠出年金等の活用促進や従業員満足度の向上が期待されます。
NRIは、2022年度から高校での金融教育が義務化されたことを受けて、2023年度から教育機関での実証実験を行い、2024年度より本格的に本プログラムの提供を開始しています。
企業型確定拠出年金制度を導入している企業の置かれた状況
2025年6月に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2025年改訂版」2では、「足元の物価が上昇する市場環境下において、元本確保型商品では実質的な購買力を確保できない可能性があることについて、事業主は加入者に対してより丁寧に説明するとともに、必要に応じて指定運用方法を含めた運用商品の構成の見直しを検討するよう促す」と明記されています。企業型確定拠出年金制度を採用する企業は、従業員に対して投資教育の機会提供や資産運用のきっかけ作りが求められ、知識不足から資産形成に一歩踏み出せない従業員や、預金のみで運用を続けている従業員などへの対応が必要となっています。
本プログラムの概要
本プログラムは、高校生向けのカリキュラムと同じものとなります。受講者である従業員はメタバース空間内で、過去から現代に至るまで何度かタイムスリップしながら、各時代に存在する投資信託を選んで売買し、最終的に現代に戻って各自の運用成果を確認します。この一連の過程において、受講者は投資や資産運用への思考や興味関心を高めることができます。
(図)本プログラムを活用した講座のイメージ
本プログラムは、以下の特長を活かして企業が抱える課題を解決しつつ、従業員の確定拠出年金などの運用促進のきっかけを提供したいと考えています。
- ①確定拠出年金制度のメリットを十分に享受できていない従業員向けに、投資に関する基本知識を仕事の合間にゲーム感覚で学ぶことが可能
- ②本プログラムはすでに完成している専門性の高いコンテンツであるため、企業側が独自にプログラムを作成する必要がない
- ③テレワークや地方勤務など、遠隔地で働いている従業員同士が同時に同じ仮想空間の中でつながることで、オンラインゲームのようにコミュニケーションをとったりしながら、一体感を感じて受講することが可能
- ④必要に応じてNRI社員による現地サポートも実施
今回の実証実験では、大手人材サービス会社であるアデコ株式会社3の全面協力の下、同社の幅広い世代の従業員に体験してもらい、本プログラムの社会人向け金融教育への効果や妥当性を検証する予定です。実証実験の終了後、2026年度よりサービス化を目指します。
NRIは今後もデジタル技術と金融知識を融合し、資産運用業界ならびに企業の資産形成支援に貢献していきます。
- 1『野村総合研究所、学習プログラム「資産運用キャンパス」の実証実験を開始』(2023年8月28日お知らせ):https://www.nri.com/jp/news/info/20230828_1.html
- 2https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/ap2025.pdf
- 3https://www.adeccogroup.jp/about