株式会社野村総合研究所(以下「NRI」)は、日本の大手自動車部品サプライヤーに対し、欧州の自動車部品取引に必須となるデータ連携要件に準拠するためのCatena-X1(欧州自動車産業のデータスペース2)本番ネットワーク接続支援を2025年10月より開始しました。本支援では、NRIが独自に開発し、Catena-Xの認定を受けたNRI製EDCコネクタ3(以下「EDCコネクタ」)を活用しています。日本のIT企業による、日本企業へのCatena-X本番ネットワーク接続支援の成功事例はNRIが初めてとなります。本取り組みは、欧州自動車業界で求められるトレーサビリティ管理4に対し、日本の自動車部品サプライヤーがCatena-Xへ速やかに対応できるよう支援するものです。
Catena-Xの重要性
Catena-Xは、欧州の脱炭素・資源循環をはじめとする社会課題への解決に向けて不可欠な社会インフラとして位置付けられています。リコール対応時に影響を最小限に抑制するための緻密なトレーサビリティ管理業務を皮切りに、Catena-Xのさらなる活用が今後本格化していく見込みです。
日本の大手自動車部品サプライヤーとの取り組みについて
NRIは、独自に開発しCatena-Xの認定を受けたEDCコネクタを活用して、グローバルに展開する日本の大手自動車部品サプライヤーの各国拠点と欧州自動車OEM各社間のデータ連携を支援します。このデータ連携は、Catena-Xの仕様に沿ったデータ主権5に基づいて行われます。これに伴い、NRIはCatena-Xで認証可能なEDCコネクタの海外拠点を開設しました。海外に拠点を設立する際には、現地法規制への対応が重要になります。例えば、欧州の厳しいデータ利用規制をクリアするためにNRIはオラクル・コーポレーションと協力し、ソブリンリージョン6の提供と環境・運用支援体制を実現しています。
支援の核となるEDCコネクタは、欧州のデータ主権を実現するCatena-Xの仕様に準拠しており、今後もCatena-Xの国際標準化仕様に沿った機能強化やサポートを継続して提供する予定です。
図:NRI製EDCコネクタの特徴

Hanno Focken, Managing Director, Catena-X Automotive Network e.V. 氏からのコメント
Catena-Xは、各国リージョンのプロバイダーがその国の企業にソリューションを提供できるグローバルなデータエコシステムです。NRIが日本における先駆者としてこのようなシステム開発を実施し、地域企業をネットワークに繋げてくださることを大変嬉しく思います。
NRIは今後も、EDCコネクタに実装されたUsage Control7やデータ管理機能を駆使し、今後も研究開発の成果を活かし、Catena-Xを活用した日本の自動車業界のデータ連携や業務高度化を支援していきます。
- 1 Catena-X:詳しくは次のURLをご覧ください。
コラム 2022年7月GAIA-X(ガイア-エックス)とカテナ-Xの衝撃 データ連携による巨大なエコシステムの台頭 藤野 直明
https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2022/iis/fujino/0727_1 - 2データスペース:企業や組織間でデータを連携、共有するためのコンピュータやネットワーク上の空間。
詳しくは次のURLをご覧ください。
コラム 2024年3月:欧州のデータスペースにおけるデータ主権の在り方 大塚 紳一郎
https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2024/ips/technical_engineer/0329_1 - 3野村総合研究所、欧州の自動車分野におけるデータ連携基盤Catena-Xの認定を日本で初めて取得
https://www.nri.com/jp/news/info/20241016_1.html - 4トレーサビリティ:製品がどこから来てどこへ行ったのかを追跡する仕組みであり、リコール発生時における対象製品の迅速な特定・回収、影響範囲の最小化の為に不可欠となっております。
- 5データ主権:詳しくは次のURLをご覧ください。
知的資産創造 2023年5月号:デジタルな社会課題解決に資する「データ主権」小田島 潤
https://www.nri.com/jp/knowledge/publication/cc/chitekishisan/lst/2023/05/01 - 6欧州連合用のOracleのソブリン・クラウド・リージョン紹介
https://blogs.oracle.com/oracle4engineer/post/ja-intro-sovereign-cloud-regions-for-eu - 7Usage Control:データ主権を担保するための重要な機能であり、データの整合性や生存期間などのデータの利用制御を実現します。Usage Controlの実装はEDCコネクタを利用する開発者に実装が委ねられています。