株式会社野村総合研究所(以下「NRI」)は、広告効果に優れた広告を表彰する「広告効果賞2025」(以下「本賞」)の受賞事例を、本日発表しました。2025年4月から2026年3月に広告展開のあった130の事例について、生活者の購入意向や利用意向、商品・サービスや提供企業に対するイメージ向上などの主要な指標が、広告によってどの程度向上したかを、共通の効果測定手法により評価しました。さらにPDCAサイクルによる広告効果の改善や、クロスメディアをはじめとする取り組みなども加味し、金賞3事例、銀賞3事例、特別賞1事例を選出しました。

シングルソースデータを用いた広告効果測定の結果をもとに選定

NRIが提供する、企業の施策と消費者の行動との関係や影響を「見える化」するためのサービス「Insight Signal(インサイトシグナル)1」では、独自にシングルソースデータ2を常時収集しています(図1)。このシングルソースデータを用い、広告接触者・非接触者それぞれの広告出稿前後におけるKPIの変化を比較することで、広告接触によるKPIへの効果を算出しています(図2)。
広告の評価に際しては、芸術性や話題性など様々な観点がありますが、NRIの広告効果賞は広告の直接効果を重視して選定しています。2017年にこの賞を設け、今回が9回目の表彰です。NRIでは本表彰を通じて、優れた広告事例に残し、企業における広告・マーケティング戦略の参考となることを期待しています。

図1:シングルソースデータの収集方法

図2:広告効果の算出方法

本賞で優秀事例を選定する際には、このデータを用いて、各々の広告が消費者に与える心理と行動への影響を測定・評価しました。

広告効果測定結果に基づく受賞事例(出稿企業名と対象商品・サービス)と、それぞれの選定理由は、下記の通りです(各賞別、企業名50音順)。

【金賞】

サイボウズ / kintone

広告に既存メインキャストに加え新キャストを起用し、文系管理職役としてITの専門知識がなくても「シュシュッ」とアプリを作成する様子や、部門間連携による業務効率化を描写。この演出により、実務者から導入を検討する経営層まで幅広い層で導入意向の向上に成功した。また、OOH(屋外広告)がハブとなり、テレビCMやデジタル広告の効果を補強した。

第一三共ヘルスケア / ミノンボディケアシリーズ

「敏感肌・乾燥肌ライン」のフルリニューアルにあたり、「敏感な私を、貯水肌へ。」をキャッチコピーに掲げ、新しいキャストを起用するなどコミュニケーションを刷新。ターゲットの購入意向を喚起し、低刺激性処方を守りながら、美容効果が高い敏感肌向けスキンケアランドのイメージ認知を高めた。さらに、車両広告の活用でテレビCMが届きにくい若年層へのリーチを補い、プロモーションの総効果を高めることに成功した。

ハウス食品 / シチューミクス クリーム

温暖化の影響もあり寒い季節が短くなったことを踏まえ、従来の「寒い季節に温かいシチューを」という情緒価値訴求だけではなく、「栄養がとれるからシチューを食べよう」という機能価値をクローズアップ。新たなCMコンセプトを打ち出した。結果として、シチューを食べて栄養が摂れるイメージがテレビCMを中心に伝達し、大きな購入意向が喚起された。

【銀賞】

アサヒ飲料 / ウィルキンソン タンサン

「選ばれる刺激」「一流」「歴史ある」といったウィルキンソンならではの本格感を、説得力あるクリエイティブで巧みに表現している。ブランドの王道ともいえる魅力を視聴者へストレートに届けることで、ブランドへの深い共感と好感度を醸成し、確実な購入意向の喚起へと繋げている点を高く評価した。

久光製薬 / 手掌多汗症

特に原因がないのに手のひらに大量の汗をかく「原発性手掌多汗症」を啓発するため、親しみやすいラッコのキャラクターを起用したCMを放映。学校でプリントが手汗で湿ってふにゃふにゃになるなど具体的な場面を描き、「まずは医師に相談を」というメッセージを発信した。
若年層や当事者からの共感を得つつ、症状の認知向上や治療意向の促進など幅広い効果が確認された。

みずほ銀行 / みずほ銀行(新規口座開設)

単なる口座開設等のキャンペーンにとどまらず、「青い挑戦」というテーマで新生活を応援する姿勢を伝えたことが魅力に映り、若年層の口座開設意向が上昇。みずほ銀行の「青」が持つさわやか・清廉といった印象がメッセージに合致していることも好印象で、企業カラーというブランド資産を活用した好例といえる。

【特別賞】

ファイントゥデイ / uno(ウーノ)のオールインワンシリーズ

冬の乾燥対策をフックにコミュニケーションを展開し、高い効果を発揮。サウナやタクシー広告といった強制視聴空間ながらも異なる環境下にあわせて巧みにメッセージを出しわけることで、スキンケアへの関与度が低い層からの広告認知も獲得できていた。

本賞の目的や評価方法、過去の受賞事例など詳細については、次のURLをご参照ください。
「広告効果賞2025」https://www.is.nri.co.jp

NRIでは今後も、マーケターの皆様に向けた情報発信や、コンサルティングをはじめとする支援メニューの開発・提供に取り組んでいきます。

  • 1 Insight Signal(インサイトシグナル):加入企業が行う広告、PRなどのプロモーション施策について、独自に収集するデータを基に、NRIが分析・評価を行うサービスです。媒体選定、クリエイティブ作成の支援をはじめ、KPI設定やPDCA構築の支援も行います(https://www.is.nri.co.jp)。
  • 2 シングルソースデータ:メディア別の広告効果を生活者の視点で評価することを目的に、同一の調査対象者に対して、多様なメディアへの接触状況とともに、商品・サービスの認知や購入意向、購入有無などを調査したデータです。シングルソースデータは、個人が特定される情報ではありません。