今回の合意の背景と狙いは、以下の通りです。

大口注文の取引コスト低減と業務効率化を実現する CONNEQTOR

機関投資家は、大口注文を執行する場合、情報漏洩や価格変動リスクのある立会市場での売買を避け、立会外で取引するのが一般的です。一方、立会外取引は相対で行われるため、業務フローがシステム化されておらず、電話等を利用した手作業が中心となっています。また、カウンターパーティーリスク³ もあるため、取引先も一部の証券会社に限定されることも見受けられます。
東証は、このような状況を改善するために、2021年より複数のマーケットメイカーへのRFQ（リクエスト・フォー・クオート⁴）をシステム化するプラットフォームとしてCONNEQTORを提供しており、2022年6月には月間売買代金が約1,500億円を記録しています。機関投資家がCONNEQTORを利用することで、世界最高水準のマーケットメイカーとの取引が可能となり、機関投資家のETF取引コストの低減と業務効率化に貢献しています。

CONNEQTOR とOMSの直結により、取引コストの低減や業務効率化に貢献

現状では、CONNEQTORのユーザーは専用画面に注文を手入力する必要があります。投資信託や年金等を運用する資産運用会社は一般にOMSを利用しているケースが多く、CONNEQTORを利用するためには注文を二重入力することになります。そのため多くの資産運用会社から、OMSとCONNEQTORを直結することが望まれていました。
そこで、NRIと東証は、資産運用会社30社以上に利用されている主要なOMSであるSBAとCONNEQTORを直結することとしました。今回の対応により、SBAのユーザーはこれまでと変わらない業務フローでCONNEQTORを利用でき、大口注文の取引コスト低減と業務の効率化につながることが期待されます。直結機能の稼働開始は2023年春を予定しています。

CONNEQTORとSBAが直結することにより、今後、資産運用会社がETF市場により容易にかつ効率的にアクセスできるようになることで、ETF市場の活性化につながることが期待されます。東証とNRIは、今回の協業を始め、これからも効率的で利便性の高い市場環境の構築に貢献したいと考えています。

• ¹  

  資産運用会社におけるファンドマネージャー業務やトレーディング業務などのフロント業務全般を、バックオフィス業務との連携を含めて支援するNRIのシステムソリューション
  https://www.nri.com/jp/service/solution/fis/smartbridge_advance

• ²  

  CONNEQTORはRFQに対して価格提示を行う世界中のマーケットメイカーと契約しています。マーケットメイカー同士が競争を行うことで、投資家の取引コストは低減します

• ³  

  取引相手が破綻し、決済できなくなるリスク

• ⁴  

  取引を希望する銘柄、株数に対して価格の提示を要求すること