フリーワード検索


タグ検索

  • 注目キーワード
    業種
    目的・課題
    専門家
    国・地域

NRI トップ ニュース お知らせ一覧 野村総合研究所、量子コンピュータを用いてデータセンターの電力消費量削減に向けた実証実験を実施
  • お知らせ

野村総合研究所、量子コンピュータを用いてデータセンターの電力消費量削減に向けた実証実験を実施

〜設備運転計画の最適化をテーマに、量子コンピュータ技術の社会実装例を提案〜

2022/12/06

株式会社野村総合研究所

  • Facebook
  • Twitter
  • LinkedIn

株式会社野村総合研究所(以下「NRI」)は、地球環境問題をはじめとするさまざまな社会課題の解決に向けて、量子コンピューティング技術(以下「本技術」)がどのように活用できるのかを明らかにするための技術検証や研究開発を進めています。
このたび2022年4月から9月にかけて、NRIが運用する東京第一データセンターの設備運転計画を、本技術により最適化するための実証実験(以下「本実証実験」)を実施しました。これにより、センターにおける電力消費量の削減効果が見込める運転計画を立案できることが机上で確認でき、本技術の具体的な適用例として示せました。

昨今、脱炭素化の動きや電力価格の高騰に伴って、電力消費量の削減が注目を集めています。NRIの事業における電力消費量の約 8 割を占めるデータセンターにおいても、電力効率が高い設備運転計画が求められています。本実証実験では、データセンターの空調等で使用する熱源設備に関して、電力効率の観点から最適な運転計画を量子コンピュータによって立案する試みを机上で実施しました。以下で示すように、この取り組みを通して、本技術が社会課題に適用できること、適用するにあたっての要点を整理しました。なお、本実証実験は量子コンピュータの応用研究を進めている東北大学の大関研究室と共同で進めています1

熱源設備運転の最適化計画立案を量子コンピュータで実現

本実証実験では、まず、ビジネス上の課題を数式化する数理計画的なアプローチによって、データセンターの熱源設備において電力消費量に影響を与えるデータを分析し、数理モデルを構築しました。次に、作成した数理モデルを用いて、アニーリング方式2の量子コンピュータであるD-Wave Advantage3で、電力消費量が最小となる熱源設備の運転計画を算出しました。データセンターで稼働する機器は年々増加しているという背景から、この演算においては今後データセンターで必要となる冷却熱量が現在よりも30%増加した場合を前提条件としました。なお、量子コンピュータで演算を行うにあたっては、Fixstars Amplify社が提供するFixstars Amplify SDK4を活用しました。

演算結果に基づく運転計画に従って熱源設備を運用した場合、外気温が20度前後となる春秋の季節に限ると、電力消費量が最大で約10%削減できることを机上にて試算しました(図)。これに加えて、本実証実験を通じて、専門性の高い本技術をビジネス上の具体的な課題に対して適用する際の要点を整理しました。

本実証実験の取り組み内容や成果は、2022年12月7日にオンラインで開催するatlax Forum 20225にて詳細を解説します。

図:算出した熱源設備内における冷凍機の運転計画イメージ

熱源設備運転計画や幅広いビジネス課題に関して最適化の取り組みを支援

本実証実験で最適化に用いた数理モデルは、NRIのデータセンターに特化したものではなく、一般的な建築物の熱源設備に対しても汎用的に適用できます。NRIでは、脱炭素化や電力価格高騰を背景としたさまざまな熱源設備運転計画の最適化の取り組みについて、支援が可能です。

さらに、本技術を用いた演算の実装力や数理モデルを構築するプロセスは、熱源設備にとどまらず、多くのビジネスにおいて業務の効率化を検討する際に応用することができます。それらビジネスの効率化に向けた取り組みに関しても、NRIでは支援サービスを幅広く提供します。

NRIは、今後も量子コンピュータ等の先進技術を活用して、ビジネス課題や社会課題の解決を目指していきます。

  • 1  

    量子コンピュータの活用による社会課題の解決を目指すべく、東北大学と共同研究契約を締結しています。詳細は次のURLをご参照ください。
    https://atlax.nri.co.jp/blogs/20220822_quantum/
    https://atlax.nri.co.jp/news/20221019/

  • 2  

    量子コンピュータには、大別して「アニーリング方式」と「ゲート方式」の2つの方式があります。アニーリング方式は最適化計算をユースケースとした事例が多数報告されており、組合せ最適化問題の中でも問題規模によっては厳密解を求めることが難しいとされている「制約なし二次形式二値変数最適化問題(QUBO問題)」に対して、有効な解を導く可能性があると期待されています。

  • 3  

    D-Wave社が開発した5,000個以上の量子ビットを搭載するアニーリング方式の量子コンピュータです。詳細は次のURLをご参照ください。
    https://dwavejapan.com/system/

  • 4  

    アニーリング方式の量子コンピュータをはじめとするハードウェアによる組合せ最適化アプリケーションを開発するためのソフトウェア開発キットです。NRIは最初のFixstars Amplifyパートナーです。詳細は次のURLをご参照ください。
    https://amplify.fixstars.com/ja/sdk
    https://atlax.nri.co.jp/news/20210831/

  • 5  

    詳細は次のURLをご参照ください。
    https://v2.nex-pro.com/atlaxforum2022

ご参考

●用語解説 量子コンピュータ
https://www.nri.com/jp/knowledge/glossary/lst/ra/quantum_computer

  • Facebook
  • Twitter
  • LinkedIn

お問い合わせ

お知らせに関するお問い合わせ


株式会社野村総合研究所 コーポレートコミュニケーション部 梅澤、松本
TEL:03-5877-7100
E-mail:kouhou@nri.co.jp

本件に関するお問い合わせ


株式会社野村総合研究所 プラットフォームサービス開発統括部 大野、渡辺、砂長谷
E-mail:quantum-randd@nri.co.jp