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野村総合研究所、国内企業を対象に「情報・デジタル子会社における今後の方向性と課題に関する調査」を実施

〜人材不足は前回調査時よりも悪化、親会社との関係構築にも課題〜

2024/04/26

株式会社野村総合研究所

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株式会社野村総合研究所(以下「NRI」)は、2024年2月に、国内企業の情報・デジタル子会社1を対象として、今後の方向性と課題を把握するためのアンケート調査(以下「本調査」)を実施し、31社から回答を得ました。NRI では2021年にも同様の調査を行っており、今回で2回目となります。今回は、内販・外販の状況などの前回質問した項目のほかに、「人材不足」や「案件過多」に関する質問項目を新たに加えました。主な調査結果は次のとおりです。

「IT企画力」・「プロジェクトマネジメント力」の不足や、「案件過多」な状況を問題視

自社の抱える問題について、複数回答形式でたずねたところ、最も多かったのは、「ITを活用した企画力不足(67.7%)」で、次いで「プロジェクトマネジメント力の不足(64.5%)」、「人材数に対して案件過多(54.8%)」でした(図1)。前回調査と比べると、IT企画力の不足は同水準(4.9ポイントの減)でしたが、プロジェクトマネジメント力の不足は28.3ポイント増加しました。
半数以上(54.8%)の企業で案件過多の問題意識が見られ、ITやデジタルサービスに対する、親会社ないし外販先企業からの要請や期待が高まっている現状が見てとれます。その一方で、企画や実行の局面で必要とされるスキルを持つ人材の不足に、危機感を覚える企業の割合は増えています。

図1:自社の抱える問題意識

2024年2月n=31 2021年3月n=47(全回答企業数から該当設問への無回答企業を除く有効回答企業数)
出所:「情報・デジタル子会社における今後の方向性と課題」(2024年2月)

人材不足の中心は「プロジェクトマネージャー」

職種ごとの人材の過不足感について複数回答形式でたずねたところ、最も不足感が高かったのは、「プロジェクトマネージャー(32.3%)」で、次いで「ITストラテジスト(25.8%)」、「ITアーキテクト(25.8%)」でした(図2)。
特に注目すべきは、前回調査と比較して、近年注目が集まるデータサイエンティストへの大幅な不足感が19.0ポイント減少する一方で、従来IT分野の主要職種であるプロジェクトマネージャーへの大幅な不足感は21.7ポイントも増えている点です。プロジェクトを成功に導くための管理能力をもつ人材への需要が高まり、各社獲得競争が激しい状況であると考えられます。こうした環境を踏まえると、外部人材を採用するのではなく、自社内の業務効率化・生産性向上によるリソース捻出と、プロジェクトマネージャーの早期育成を念頭においた計画的なプロジェクトへのアサインが現実的かつ有効な策と考えられます。
また企画力が求められるITストラテジスト、ITアーキテクトにおいても同様に獲得競争が厳しい状況であると考えられます。新たな人材の確保が難しい中、社内人材の企画力向上を図る対応としては、親・グループ会社への異動を含めて抜本的な業務の見直しを経験することや、業務の上流工程シフトが有効と考えます。

図2:職種別にみた人材の過不足感

2024年2月n=31 2021年3月n=47(全回答企業数から該当設問への無回答企業を除く有効回答企業数)
出所:「情報・デジタル子会社における今後の方向性と課題」(2021年3月、2024年2月)

案件過多な状況の正常化に向け、親会社と対等な折衝ができる関係性構築が課題

案件過多に対する効果的な取り組みを調査するため、本調査では、親会社との案件情報の共有を実施している企業を対象に、どのように実施しているか、さらにその取り組みは効果をあげているかをたずねました。その結果、各取り組みを実施している企業から十分な効果が得られているとの回答を集めた上位3つの取り組みは「親会社から案件情報の共有(期中にも実施)」、「親会社と共同で案件優先順位付けを行い、適正な案件数を調整」、「親会社と共同で予算策定段階から入り込み、受注案件をコントロール」でした。親会社と適切な頻度でコミュニケーションがとれ、対等な折衝ができる関係性が築けている企業において、案件共有は有効に機能する手段と言えるでしょう(図3)。

一方で、親会社に対する問題意識をたずねたところ、「業務要件が定まらないままシステム開発に着手」をあげた企業が46.4%に達し、次いで 「親会社と対等な関係で折衝できない(下に見られる)」 が 42.9% でした(図4、複数回答)。前回調査においても、これらの2項目は40%以上の企業が問題と回答しており、そうした状況が持続していることを示しています。親会社と建設的なコミュニケーションをとるためには、今一度、自社の立ち位置と今後の在り方に関して親会社との対話を始める必要があります。この対話では、親会社の協力が不可欠であり、親会社の事業におけるデジタル・ITの果たす役割や方向性を共に明確にする必要があります。

図3:親会社との案件情報の共有に関する施策の実施状況
(案件過多についての取り組みの有効性評価別、複数回答)

効果を得られているn=13,効果を得られていないn=15
(全回答企業数から該当設問への無回答企業を除く有効回答企業数)
出所:「情報・デジタル子会社における今後の方向性と課題」(2024年2月)

図4:親会社に対する問題意識(複数回答)

2024年2月n=31 2021年3月n=47(全回答企業数から該当設問への無回答企業を除く有効回答企業数)
出所:「情報・デジタル子会社における今後の方向性と課題」(2024年2月)

NRIグループは、これからも企業のIT・デジタル化のテーマに関連して、さまざまな調査で現状を明らかにするとともに、新たに生まれる課題の解決を多様な視点から推進・支援していきます。

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    情報・デジタル子会社:以下の(1)~(3)の条件すべてに当てはまる企業。
    (1)親会社からの出資により、IT・デジタルサービスを提供している子会社 (2) IT・デジタルサービスには、親会社・グループ内企業に対する内販サービス、グループ外企業に対する外販サービスのどちらも含む (3)孫会社、あるいはIT・デジタルサービス提供企業の子会社は対象外(ただし、ITベンダーなどによる50%以上の出資により、IT・デジタルサービス提供企業の子会社になった場合は対象とする)

ご参考

1.調査概要

調査名 情報・デジタル子会社における今後の方向性と課題に関する調査
調査目的 情報・デジタル子会社の実態を把握して変革の方向性を導くこと
実施時期 2024年2月
調査方法 事前に郵送で調査協力依頼を送付した後、Webで調査票の回答を回収
調査対象 日本国内に本社を持つ、売上高上位企業約 350社対象
調査回答企業 日本企業の情報・デジタル子会社(上記の注1を参照)
回答企業数 31社
親会社の業種 機械製造、素材・他製造、建設、小売、金融、運輸、通信、インフラなど
主な調査項目 「自社が抱える問題意識」「取組み施策の実行状況」「将来の見通し」「内販と外販の概況」「内製割合」など

2.業務内容(従来IT、デジタル)から見た情報・デジタル子会社の3区分とその割合

出所:「情報・デジタル子会社における今後の方向性と課題」(2024年2月)

3.業務対象(内販/外販)から見た情報・デジタル会社の分類とその割合

出所:「情報・デジタル子会社における今後の方向性と課題」(2024年2月)

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株式会社野村総合研究所 コーポレートコミュニケーション部 竹尾、海藤
TEL:03-5877-7100
E-mail:kouhou@nri.co.jp

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株式会社野村総合研究所 ITマネジメントコンサルティング部 山路、坂口、望月
E-mail:nri-kogaisha-survey@nri.co.jp