株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役会長兼社長:此本 臣吾、以下、「NRI」)は、2020年7月21日から22日の2日間で、全国の企業の「人事・労務担当の部長・役員」もしくは「人事企画担当者」を対象に、人材マネジメントの柔軟性と新型コロナウイルスの会社業績への影響・対応について、インターネットによるアンケート調査(以下、「本調査」)を実施し、様々な業種・規模の企業206社から回答を得ました(図1)。本調査で明らかになったのは、主に以下の3点です。
人材マネジメントの柔軟性が高い“しなやか”企業は、そうでない“硬直”企業と比べ、業績の推移や今後の見通しが底堅く、新型コロナウイルスにも十分に対応
本調査では、①報酬体系、②評価運用、③任用・配置、④人材・組織、⑤労務環境の5つの観点から、人材マネジメントの柔軟性に関する6つの質問を各5段階評価でたずねました(図2)。これら6つの質問に対する回答の平均点が4以上の企業を“しなやか”企業、平均点が2以下の企業を“硬直”企業と定義したところ、“しなやか”企業は“硬直”企業と比べ、新型コロナウイルス感染が続く7月時点で業績および業績見通しが維持または好調と底堅く、新型コロナウイルス感染拡大に対しても「十分に対応できている」と回答しています(図3)。
「人材の多様性」や「外部人材の活用」が進んでいる企業ほど、業績見通しが好調
6つの質問への回答内容別に、新型コロナウイルス感染拡大後の業績見通しを分析した結果、特に「人材の多様性」や「外部人材の活用」といった“人材・組織”面での点数が高い企業で、業績見通しが好調という傾向が見られました(図4)。 “人材・組織”面の柔軟なマネジメントを進めることで、急激な環境変化の下でも業績を維持しやすくなる可能性が示された要因には、 “業務の内容や様式、対応体制を環境変化に合わせて素早く調整しやすい”、“多角的な視点から事業が推進できるため、様々なリスクに対応しやすい”、“多様な事業を展開しやすく、リスクヘッジができること”などが考えられます。
「IT・デジタルの活用」や「柔軟な人材配置・任用」、「是々非々の評価運用」が進んでいる企業ほど、新型コロナウイルス感染拡大に適切に対応
6つの質問への回答内容別に、新型コロナウイルスへの対応状況を分析した結果、特に「IT・デジタルの活用」や「柔軟な人材配置・任用」「是々非々の評価運用」が進んでいる企業では、新型コロナウイルス感染拡大に対応できている傾向が見られました(図5)。
これはたとえば、「IT・デジタルの活用」が進んでいる企業の方が、テレワークの推進がしやすい等の事情によるものと考えられます。また、「柔軟な人材配置・任用」「是々非々の評価運用」が進んでいる企業は、“必要な対応等が、素早くかつ自発的に提案・実行されること”、“会社や所属部署の環境変化を自分事として捉え、積極的な対応が進めやすいこと”といった要因が、今回の結果につながっていると推察されます。
ご参考
調査概要
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【調査名】
「人材マネジメントの柔軟性と新型コロナウイルスの業績への影響調査」
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【調査時期】
2020年7月21日から7月22日
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【調査方法】
インターネットによるアンケート
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【対象】
企業の人事・労務担当部長・役員もしくは人事企画担当者
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【回答数】
206
お問い合わせ
本調査に関するお問い合わせ
株式会社野村総合研究所 コーポレートイノベーションコンサルティング部 立山、内藤
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