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野村総合研究所グループ、障がい者雇用に関する4回目の実態調査を実施

~大半の企業では、障がい者の業務にITを活用~

2018/11/30

株式会社野村総合研究所

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株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:此本臣吾、以下「NRI」)と、NRIみらい株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:足立興治、以下「NRIみらい」)は、2018年8月から10月にかけて、上場企業と特例子会社を対象に「障害者雇用に関する実態調査」と「障害者雇用及び特例子会社の経営に関する実態調査」をそれぞれ実施しました。これらの調査は、2015年度から毎年実施しており、今回が4回目となります。

 

近年、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)等の技術発展が目覚ましく、IT(情報技術)が障がい者のおこなう業務の効率化や質の向上に大きな役割を果たすのではないかという期待がある一方、障がい者の業務を奪うのではないか、という声も聞かれます。今回、(1)障がい者雇用におけるIT活用に関する考え、(2)障がい者の業務におけるITの活用状況、(3)精神障がい者雇用の課題と対応策、の3つのテーマを中心に調査をおこないました。
主な調査・分析結果は、以下のとおりです。詳細は【ご参考】をご参照ください。

 

  • IT導入で「障がい者雇用の可能性を広げる」という期待が、「障がい者の仕事を奪う」という考えを上回る
    障がい者を雇用する上場企業や特例子会社は、障がい者雇用におけるIT活用に対して、「業務効率の向上や質の向上が期待できる」「新しい職域の拡大が期待できる」のように、前向きな見方をしています。しかし、ITによって、「障がい者の業務がなくなる(上場企業 21.3%、特例子会社 13.2%)」、「障がい者間の格差が生じてしまう(22.8%、14.9%)」、という考えも一定程度存在しています(図1)。


  • 大半の企業で、障がい者の業務にITを導入している
    障がい者を雇用する上場企業や特例子会社の約8割が、障がい者の業務にITを導入しており、一部では、テレビ会議システムのような、働き方を変える技術を導入しています(図2)。


  • ITの導入によって、職域の拡大や業務の効率化が期待できる
    調査結果から見て、ITは障がい者の現在の業務をサポートして効率化や質の向上をもたらすだけでなく、指導員のマネジメント円滑化や、新たな障がい者の職域の開拓など、さまざまな可能性につながるとNRIでは考えています(図3)。

    NRIとNRIみらいでは、これからも障がい者雇用の実態や課題とあるべき姿に関して、継続的な調査を実施し、結果を公表していきます。

 


 

ご参考

 

<主な調査・分析結果>

  • IT導入で「障がい者雇用の可能性を広げる」という期待が、「障がい者の仕事を奪う」という考えを上回る
    「上場企業向け調査」に回答した153社のうち、特例子会社を設置せずに自社で障がい者を雇用する上場企業114社の回答では、「業務効率の向上や質の向上が期待できる」が55.3%、「新しい職域の拡大が期待できる」が42.1%でした。
    「特例子会社向け調査」に回答した200社(うち3社無回答)では、ITの活用に関する回答では、「業務効率の向上や質の向上が期待できる」が66.5%、「新しい職域の拡大が期待できる」が49.7%でした。
    上場企業、特例子会社ともにIT導入の効果に対して、前向きなイメージを持っている企業が少なくないことがわかりました。

    一方で、ITの導入に伴う懸念や不安の声もあり、上場企業114社の回答では、「ITを活用できる人とできない人で、障がい者間の格差が生じてしまう」が14.9%、「障がい者が今まで取り組んできた業務がなくなる(ITにとってかわられる)」が13.2%でした。
    特例子会社の回答では、「障がい者が今まで取り組んできた業務がなくなる(ITにとってかわられる)」が21.3%、「ITを活用できる人とできない人で、障がい者間の格差が生じてしまう」が22.8%でした。
    ITの導入には、相対的には期待が多いものの、不安も共存していることがわかりました。(複数回答、図1)

図1 働く障がい者の業務におけるITの活用についての考え(特例子会社を設置せずに障がい者を雇用する上場企業、および特例子会社 複数回答)

出所)「障害者雇用及び特例子会社の経営に関する実態調査(「特例子会社向け調査」)」「障害者雇用に関する実態調査(「上場企業向け調査」)」(NRI、NRIみらい実施、2018年)

  • 大半の企業で、障がい者の業務にITを導入している
    特例子会社を設置せずに障がい者を雇用する上場企業114社において、「主な業務では特に活用していない」が17.5%でした。同様に、特例子会社198社の回答では、障がい者の業務におけるIT活用について「主な業務では特に活用していない」が17.2%で、特例子会社、および、上場企業双方とも、大半の企業が障がい者の業務において何らかのITを活用していました。

    ITの活用方法については、「データ入力や入力内容のチェック(エクセル、ワード、パワーポイント等)」をしているという回答が最も多く、特例子会社を設置せずに障がい者を雇用する上場企業では72.8%、特例子会社では70.2%でした。
    続いて、「メール、社内イントラネット等による連絡」が、特例子会社を設置せずに障がい者を雇用する上場企業では59.6%、特例子会社では64.6%で、一般的なOA機器は、多くの上場企業や特例子会社において活用されていることが明らかになりました。

    一部の上場企業や特例子会社では、従来の障がい者の働き方を変革させるようなIT活用も始まっており、「テレビ電話会議等を活用した連絡、打ち合わせや会議」が特例子会社を設置せずに障がい者を雇用する上場企業では15.4%、特例子会社では26.8%でした。(複数回答、図2)
    しかし、「ロボット、AI等を活用した業務」は、特例子会社を設置せずに障がい者を雇用する上場企業では0.0%、特例子会社では2.0%となり、現時点ではほとんど導入には至っていないことがわかりました。

図2  障がい者の業務におけるITの活用状況(特例子会社を設置せずに障がい者を雇用する上場企業、および特例子会社 複数回答)

出所)「障害者雇用及び特例子会社の経営に関する実態調査(「特例子会社向け調査」)」「障害者雇用に関する実態調査(「上場企業向け調査」)」(NRI、NRIみらい実施、2018年)

  • ITの導入によって、職域の拡大や業務の効率化が期待できる
    NRIでは、ITの導入によって、障がい者雇用の現場において、新たな職域を開拓したり、業務の効率化を図ったりできる可能性があると考えています。これは、障がい者の自身の可能性を広げるだけでなく、指導員のマネジメントサポートも期待できます。図3に、出社から退社までの流れの中で、ITがどのように障がい者の活躍に寄与しうるか、一例を示します。

図3  ITの活用による障がい者活躍の可能性(例示)

出所)公開情報や調査結果を基にNRI、NRIみらい作成

 

  • 特例子会社:
    障がい者の雇用に特別な配慮をし、法律が定める一定の要件を満たした上で、障がい者雇用率の算定の際に、親会社の一事業所と見なされるような「特例」の認可を受けた子会社を指します。特例子会社は別法人のため、障がい者のニーズやスキルに応じた環境整備や制度設計が可能です。特例子会社は増加を続けており、2017年6月1日時点で464社となっています。2011年6月1日と比較すると、特例子会社は145社増加しました(厚生労働省「特例子会社一覧」、「「特例子会社」制度の概要」)。

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お問い合わせ

ニュースリリースに関するお問い合わせ

株式会社野村総合研究所 コーポレートコミュニケーション部 十河、水谷

TEL:03-5877-7100
E-mail: kouhou@nri.co.jp

調査担当者

株式会社野村総合研究所 社会システムコンサルティング部 水之浦、名武、新治