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「ITロードマップ2019年版」をとりまとめ

~「5Gと次世代ワイヤレス技術」がスマート社会の基盤を形成 ~

2019/03/05

株式会社野村総合研究所

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株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:此本 臣吾、以下「NRI」)は、これからのビジネスや社会に広く普及し、さまざまな影響を及ぼすと考えられる情報通信関連の重要技術が、2019年以降どのように進展し実用化されるかを予測した「IT(情報技術)ロードマップ」※1を、このほどとりまとめました。

今回、注目すべき技術として取り上げたのは、「エッジAI(人工知能)」、「データサイエンス・プラットフォーム」、「非金融分野のブロックチェーン活用」、「5G(第5世代移動通信ネットワーク)と次世代ワイヤレス技術」、「ドローン」、「EX(Employee Experience:従業員体験価値)」、「情報銀行と信用スコア」の7つです。
さらに、年々重要度が高まっている情報セキュリティ技術の中から、「デジタルビジネスにおけるセキュリティ新機軸」、「プライバシーの保護とIDの本人確認※2」、「脅威インテリジェンス」「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)×無線のセキュリティ」「ITシステムのマルチクラウド化」の5つも取り上げました。
これらのテーマのうち、あらゆるモノがつながり人々が快適に暮らせるスマート社会の基盤となるのが「5G」と「次世代ワイヤレス技術」です。数年先までに、以下のような発展が見込まれます。

10年ぶりに大がかりな刷新期を迎える携帯電話ネットワーク

移動通信用の無線ネットワーク、すなわち携帯電話ネットワークは、1980年代に登場したアナログ無線方式の1G(第1世代)から、約10年ごとに世代交代に相当する進化を遂げてきました。2010年代に登場し、現在使用されている4G(第4世代)は、スマートフォンの爆発的な普及と歩調を合わせて世界中で整備が進み、モバイル端末からのSNSや動画の利用を支えています。
5Gについては、2018年6月に業界団体の3GPP(Third Generation Partnership Project)が、4Gの次の世代のネットワークとして、技術仕様を策定しました。現在、世界中の通信事業者がこの仕様に基づき、5Gサービスの開始準備を進めています。
一方、IoTの普及に伴って、携帯電話ネットワーク以外の無線通信技術の変革も始まっています。IoTで使用される通信モジュールは、センサーや検針器、カメラのような小型機器に組み込めるように、低コスト・低消費電力、かつ利用シーンに応じた適切な通信エリアの確保が求められます。これらのニーズに応える無線技術として、LPWA※3や新方式のPAN※4技術が登場し、注目を集めています。
5Gと次世代ワイヤレス技術のロードマップは、以下のとおりです。

【2018年度まで:LPWAの活用は実証実験から実運用へ】

米国の大手通信事業者ベライゾン・ワイヤレスが、2018年10月から家庭向け5Gサービスを開始するなど、5Gの商用化では米国が先行しています。日本国内の大手通信事業者は、放送、鉄道、建設・建築、不動産などのさまざまな企業と共同で、5Gの活用法を検討する共創プログラムを立ち上げ、5Gならではの新たなサービスを模索している段階にあります。
LPWAはさまざまな方式が登場し、実証実験から実運用に向けての取り組みが進んでいます。大手通信事業者に加え、ソラコムのようなMVNO※5がLPWAとIoTのワンストップサービスを提供するなど、無線ネットワークを用いて企業のIoTへの取り組みを支援する活動を開始しています。

図:「5Gと次世代ワイヤレス技術」のロードマップ

図:1

  • ※  

    PoC(Proof of Concept):実証実験

  • ※  

    ★は提供中(実験的なサービス提供を含む)、△は予定

【2019〜2021年度:5Gサービスが開始。東京オリンピック・パラリンピックは格好の披露の場に】

日本における5Gサービスの開始ターゲットとなる時期は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックです。それに向けて、2019年夏にはプレサービスが始まります。大勢の人が集まるホットスポットでは、スマートフォンから膨大なトラフィックが発生するため、5Gの持つ「高速かつ大容量の通信が可能」という特性が生きると期待されています。たとえば、選手や審判の視線で試合の動きを視聴できるようになれば、競技場や周辺施設にいる観客は、VR機器や大画面テレビを通じて映像を共有し、まるで自分がフィールドにいるかのような臨場感あふれる体験ができるようになります。東京オリンピック・パラリンピックは、5Gを基盤としたサービスの格好のお披露目の場となるでしょう。

LPWAは、IoT用途での利用が拡大していきます。特に、検針作業や設備監視のように管理対象が大量に存在するものの、端末が送信する1回当たりのデータ量が少なく、通信頻度も低いようなケースでは、業務効率化の面で多大な効果を発揮することが期待されています。

【2022年度以降:ミッションクリティカルな業務での5G活用の進展と、ハイブリッド・ワイヤレスの実現】

日本では、4Gのサービス開始から全国展開まで4~5年を要したことを踏まえると、5Gはこの時期、利用ニーズが高い都市部から郊外・地方へと、利用可能なエリアを拡大していくインフラ整備の真っ只中にあると予想されます。また、URLLC※6やmMTC※7といった5Gの特性を活用したアプリケーションの開発や導入が徐々に広がり、重機の遠隔操作や遠隔診療など、ミッションクリティカルな(誤動作や停止が許されない)業務やコネクテッドカー※8での5Gの活用も視野に入ってきます。
LPWAは、利用シーンが拡大し、利用範囲も農地や工場といったスポット的な導入から、都市部を含む広範なエリアに拡大していくでしょう。
5GやLPWAなど新たな無線ネットワークの整備が進むと、それら複数の無線技術を同時かつシームレスに活用できる「ハイブリッド・ワイヤレス」な仕組みが実現します。これにより、企業は大量データの送受信を行ったり、通信遅延の発生がサービス品質に影響したりするようなシーンでは5Gを用い、処理開始のきっかけとなるトリガー情報の送信やテレメトリー情報※9の定期配信にはLPWAを使うというように、複数のネットワークを組み合わせて運用の最適化が図れるようになると予想されます。

上記のような動向の詳細を含め、今回NRIがとりまとめた「ITロードマップ」は、東洋経済新報社から、単行本『ITロードマップ2019年版~情報通信技術は5年後こう変わる!~』として、2019年3月7日に発売されます。

  • ※1  

    ITロードマップ:
    特定のIT領域について、現在から5年程度先までの技術の進化や動向をNRIが予測したもの

  • ※2  

    IDの本人確認:
    あるシステムにおいて、「ID(個人を識別する情報)」を登録する際に、登録するIDとそのIDに紐づく実在の人物が確かに本人であることを確認すること

  • ※3  

    LPWA(Low Power Wide Area):
    低消費電力で、電波の伝達距離が数キロメートルから数十キロメートルに及ぶ無線技術の総称

  • ※4  

    PAN(Personal Area Network):
    通信距離が数センチから数メートル程度で、一人の人間が使用する範囲で用いられる無線ネットワーク

  • ※5  

    MVNO(Mobile Virtual Network Operator):
    仮想移動体通信事業者。自社では無線通信回線設備を開設・運用せずに、他の通信事業者のネットワークを利用して移動体通信サービスを行う事業者のこと

  • ※6  

    URLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communication):
    無線区間で生じる通信遅延を1ms(ミリ秒)以下に抑えつつ、パケットデータ通信の送信成功率99.999%以上を実現する、超高信頼かつ低遅延の通信技術

  • ※7  

    mMTC(Massive Machine-Type Communication):
    大量(1km2内に100万台程度)のセンサー端末などを、同時にネットワーク接続可能とする大量・多地点通信技術

  • ※8  

    コネクテッドカー:
    インターネットへの常時接続機能を備えた自動車

  • ※9  

    テレメトリー情報:
    対象から離れた地点から、観測や計測を行って取得した情報

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