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コロナにより休業中の正社員は、半数近くが休業手当よりも就業再開を希望

〜休業中のパート・アルバイト女性の7割が休業手当の受け取りなし〜

2020/11/18

株式会社野村総合研究所

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株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役会長兼社長:此本 臣吾、以下「NRI」)は、新型コロナウイルス感染拡大による雇用調整1のために休業中の労働者(以下「休業者」)2,163人を対象に、インターネットアンケート調査(以下「本調査」)を実施し、休業の実態や今後の意向などを把握しました。

本調査の結果、休業中の正社員に、「休業手当よりも実際に仕事をして賃金を受け取りたい」、「人手不足の業界に転職することを検討してもよいと思う」と考えている人が少なくないことが分かりました。
一方で、休業中のパート・アルバイト女性の多くが休業手当2を受け取っておらず、世帯年収が低いほど受け取っていないことが分かりました。本調査の主要な結果は以下の通りです3。なお、詳細な結果等は後日改めて公表予定です。

休業中正社員の半数近くが、「休業手当よりも、実際に仕事をして賃金を受け取りたい」

休業者中の正社員のうち、「休業手当を受け取れるならば、現在のように休業を続けられる方がよい」と回答した人の割合が、5割超(男性で54.7%、女性で57.1%)と多いものの、「実際に仕事をして賃金を受け取れる方がよい」と回答した人が半数近く(男性45.3%、女性42.9%)に及びました(図1)。
休業手当を受け取っている休業中の正社員であっても、約4割(男性42.2%、女性39.1%)が「実際に仕事をして賃金を受け取れる方がよい」と回答しています(図2)。

コロナによって休業を余儀なくされている正社員の中には、休業の長期化や将来不安なども背景に、今後、休業手当を受け取るよりも実際に仕事をして賃金を受け取れる方がよい、と考える人が少なくありません。

休業中正社員のうち転職希望者が5割。うち6割が人手不足の深刻な業界への転職にも前向き

休業中の正社員のうち、「新しい仕事を探したいと思っている」と回答した人(以下、「転職希望者」)の割合は約5割で、男性で52.8%、女性で49.2%でした。また、「実際に新しい仕事を探している」と回答した人の割合は男性で20.1%、女性13.8%でした(図3)。
転職希望者のうち、「(新しい仕事は)現在と異なる職種でもよい」と回答した人の割合は約8割(男性81.6%、女性80.9%)に及びました。「現在と異なる職種がよい」と明確に職種変更を希望している人も男女それぞれ4人に1人(男性26.4%、女性24.3%)に及びました(図4)。
転職希望者のうち、新しい仕事を探す際に、「コロナ下においても働く人を求めているような業界(小売り、物流、医療、介護・保育など)で働くことを検討してもよいと思う」と回答した人の割合は、約6割(男性61.0%、女性60.5%)に及びました(図5)。
休業中の正社員において、新しい仕事を探したいと考えている人は多く、さらに、休業の長期化や将来不安も背景に、このような状況下であっても働く人を求めている、人手不足の深刻な業界に転職することにも前向きな人が少なくありません。政府は、雇用政策の軸足を、これまで働いてきた企業での雇用維持から人手不足産業への移動支援に移し始めていますが、働き手の意識の変化からも、政府にはそうした移動支援策の迅速かつ大胆な実行が期待されます。

なお、休業中の正社員に「現在の仕事での雇用調整の解除(通常就業の再開)が難しい場合、仕事があって働く人を求めている企業に『在籍出向4』してもよいと思うか」を尋ねたところ、男性で17.3%、女性で14.9%が「積極的にしたい」と回答し、「積極的にではないが、してもよい」を合わせると約5割(男性53.1%、女性50.8%)が「在籍出向」に前向きであることが分かりました。「在籍出向」に前向きな人のうち、「コロナ下においても働く人を求めているような業界(上記)の企業への「在籍出向」を検討してもよい」と思うと回答した人の割合も8割近く(男性78.7%、女性79.0%)に及びました。

休業中のパート・アルバイト女性の7割は休業手当なし。世帯年収が低い人ほど休業手当を受け取っていない傾向も

休業中のパート・アルバイト女性の場合、休業手当を受け取っている人の割合は30.9%で、約7割(69.1%)が休業手当を受け取っていないと回答しています(図6)。従来働いていた一日の労働時間のうち、一部を休業する短時間休業の場合のみならず、一日単位で休業している場合でも、6割強(63.7%)はその分の休業手当を受け取っていない、と回答しています。
休業手当の受け取り有無を世帯年収別に見ると、世帯年収が低い人ほど休業手当を受け取っていない割合が高いことも分かりました(図7)。
非正規雇用労働者の解雇・雇止めが増えていることが問題視されていますが、解雇されないまでも休業を余儀なくされているパート・アルバイト女性の多くにおいて、休業手当を受け取れておらず、生活困窮に直結している実態が推察されます。本来受け取り権利があるにもかかわらず、休業手当を受け取れず、生活が困窮している層に対し、休業手当を含む経済的支援を迅速かつ確実に届けることも喫緊の課題だと考えます。

ご参考

調査概要

  • 【調査名】

    「コロナによる休業者の実態と今後の意向に関する調査」

  • 【調査時期】

    2020年10月20日~10月21日

  • 【調査方法】

    インターネットアンケート

  • 【対象者及び回答数】
  • 新型コロナウイルス感染拡大に関連した雇用先の雇用調整により現在休業中(※)の労働者 計2,163人
    内訳:正社員(男性)618人、正社員(女性)618人、契約社員・派遣社員(女性)309人、パート・アルバイト(女性)618人

    • 本調査は、新型コロナウイルスの影響を受けた企業が、従業員を解雇せずに余剰雇用を調整するため、従業員に対して指示している休業・シフト減(自宅待機を含む)、勤務代替としての教育訓練実施を総称して、「新型コロナウイルス感染拡大による雇用調整」と定義した上で、「新型コロナウイルス感染拡大による雇用調整」による休業者を対象としました。自身の新型コロナウイルス罹患やその他自己都合による休業者は、本調査の「休業者」に含まれません。

  • 1  

    本調査では、新型コロナウイルスの影響を受けた企業が、従業員を解雇せずに余剰雇用を調整するため、従業員に対して指示している休業・シフト減(自宅待機を含む)、勤務代替としての教育訓練実施を総称して、「新型コロナウイルス感染拡大による雇用調整」と呼んでいます。本調査の対象者は、「新型コロナウイルス感染拡大による雇用調整」による休業者で、自身の新型コロナウイルス罹患やその他自己都合による休業者は含まれません。

  • 2  

    労働基準法では「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない」とされており、アルバイトやパート労働者、派遣労働者、有期契約労働者なども含めて、休業手当の支払いが必要とされています(厚生労働省ホームページより)。

  • 3  

    正社員の結果について、本調査における定義での休業者の性別構成比が不明のため、ウエイトバック集計は行わず、男女別の結果で示します。なお、参考値として、回答者全体の結果も掲載します。グラフに記載の構成比は、小数点以下第2位を四捨五入して表記しているため、内訳の計と合計が一致しない場合があります。

  • 4  

    本調査では、現在の会社に籍を残しながら、他の企業に出向して働き、給与を受け取ることを「在籍出向」と呼び、「在籍出向」時に受け取る給与水準は、これまでの給与水準が維持されるものとしました。

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お問い合わせ

ニュースリリースに関するお問い合わせ


株式会社野村総合研究所 
コーポレートコミュニケーション部 玉岡、竹尾
TEL:03-5877-7100
E-mail: kouhou@nri.co.jp

本件調査の担当


株式会社野村総合研究所 未来創発センター 武田