株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役会長兼社長:此本 臣吾、以下「NRI」)は、銀行が自行で運用するスマートフォンアプリなどのメディアを活用して、取引先企業等から広告を受託する事業に参入する際、必要となるデータの分析や広告営業、広告運営などを支援する「バンクディスプレイ」サービス(以下「本サービス」)を2022年1月から開始します。
「バンクティスプレイ」の詳細は次のURLをご参照ください。https://www.bd.nri.co.jp/
本サービスは、広告事業へ参入する銀行及び広告出稿企業向けのサービスです。本サービスの導入により、銀行では、新たに非金融分野での収益モデルを確立したり、取引先企業のマーケティング活動支援を通じた地方創生事業などを迅速に立ち上げたりすることが可能となります。一方、広告主となる企業においても、銀行の持つ信頼性の高いデータや、これまでにないストック&フローデータを用いた高度なターゲティング分析により、有効な広告展開が可能となります。
NRIは本サービスにおいて、数多くの銀行との強固なネットワークや、インサイトシグナル1サービスによる広告領域での深い知見、さらには多様な業界でDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進してきた経験に基づく高度なデータ分析力など、これまでに培った総合力を発揮していきます。NRIは、今後多様な発展が見込まれるDX市場において、今後も様々な事業を展開していきます。
1.本サービス開発の背景
2021年11月に改正銀行法が施行され、銀行が広告事業に参入することが可能となります。非金融分野で収益ビジネスを立ち上げたい銀行にとって、広告事業は有望な領域のひとつですが、行内に事業ノウハウは少ないのが実情です。また、単に自社メディアを広告媒体として運営・提供するだけでなく、広告主サイドが求める銀行データの分析ロジックとアウトプットの提供も必要になります。さらに、外部の企業と協業する際には、その相手に銀行業界の商慣習を理解しておいてもらう必要があります。
一方、デジタル広告の分野では、Cookieless2時代の到来によるターゲティング精度の低下が課題となっています。対策のひとつとして、広告を提供するそれぞれのメディアが、直接生活者に許諾を取った上で当該生活者の属性データを活用する、という方法が必要になると考えられます。
このような背景の中、銀行が保有する生活者(個人顧客)の属性データは、その正確性などから広告主となる企業にとって非常に有益であり、また、顧客と銀行との取引データの分析によるターゲティングによって、これまでにないマーケティング戦略を推進することが可能となります。
2.本サービスの概要
NRIでは本サービスの推進に際し、銀行および広告主、広告会社のそれぞれに向けて、以下の業務をおこないます。
①銀行向け:広告事業の立ち上げ・運営支援
広告事業に関する計画の検討から、広告メニューや媒体価格などの設計、リーガルチェックや広告審査など、ルール設計についても適切な案を提供します。また、銀行のもつ顧客の属性データや取引データを基に、広告主にあわせたターゲット抽出手法の策定およびセキュリティ対策をおこなうとともに、広告主、広告会社向けの営業についても支援します。さらに、アプリ開発や広告枠管理、銀行間を連携したメニュー開発や信頼性の高い共通プラットフォーム、最新のアドテクノロジー等の知識・ノウハウを提供します。NRIでは、これまで100社を超える銀行において、コンサルティングやシステム構築を行ってきましたが、その際に得られた知見を活用し、媒体社としての銀行の取り組みを支援します。
②広告主、広告会社向け:広告枠の活用支援
広告主、広告会社からの依頼を受けて、銀行の持つ広告枠を調整して提供します。また、コミュニケーション戦略立案、ターゲット選定、出稿媒体の選定/最適化、クリエイティブ制作支援、効果測定など、広告に関する全てのプロセスについて、支援が可能です。NRIでは、インサイトシグナルサービスを通じて、250社を超える企業に第三者視点で広告戦略の立案をサポートしており、そのリソースやナレッジを活用し、広告主を支援します。なお、広告主からの依頼により、いわゆる広告だけでなく、自社製品のリコールや請求勧奨など対象者への情報提供や、一般市民への地域情報の発信などにも活用できる仕組みも用意しています。
➂広告主向け:マーケティング戦略支援
銀行メディアを通じた広告出稿により得られる大量のデータを、NRIのDX技術を活用して分析し、有用なマーケティングデータとして提供します。さらに、NRIが蓄積してきた、訪問留置による時系列の「生活者1万人アンケート」データや、意識や行動を日々取得する“シングルソースデータ”、POSやアクセスログなどの“アクチュアルデータ”などを組み合わせ、広告主のマーケティング戦略を支援します。これらにより、市場や生活者の分析はもちろん、商品開発、リブランディング、流通支援、CS(顧客満足度)向上施策、事業戦略の立案に至るまで、幅広いシーンで支援が可能です。
【本サービスに対する広告主企業からの主な意見】
- 結婚、出産、引越しなどライフステージの変化や、勤務先、年収、ストック(資産)の情報などは、ピンポイントのターゲットツールとして非常に有望
- 一般的に銀行に対する信頼性は高いため、そのメディアとなれば、ブランディング戦略として活用しやすい
- 正確な住所や属性データがわかれば、災害時の保険金の請求勧奨にも利用できるし、地方産業の活性化に繋がる可能性もあり、社会的意義がある
- テレビ離れが進む若者が活用しやすいメディアであり、クーポンなどもうまく利用できれば、販促ツールとしても可能性がある
3.今後の展開
NRIでは、2022年から本サービスを開始し、2026年度までに10億円/年の売上を創出します。また、デジタル化によって銀行や企業の保有する顧客接点が、有効な広告メディアとしての資産価値を持つ潮流を創り出し、本サービスに続く広告メディアを様々な業界で展開し、2030年度には100億円/年の事業規模を目指します。
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Insight Signal(インサイトシグナル):
加入企業が行う広告、PRなどのプロモーション施策について、NRI独自のデータを基に、NRIが分析・評価するサービスです。媒体選定、クリエイティブ作成の支援をはじめ、KPI設定やPDCA構築の支援も行います。 - 2
Cookieless(クッキーレス):
個人情報保護の観点からWebサイトの閲覧履歴を保存するクッキーによる情報の取得が規制される動きのこと。クッキーデータが取得できないと、各ユーザーのWebサイトのアクセス回数、ログイン情報、インターネット広告の表示実態などが把握できないため、自社商品・サービスに関心の高い人を効率的に見つけることが困難になります。
お問い合わせ
本件に関するお問い合わせ
株式会社野村総合研究所 コンサルティング事業本部
金融コンサルティング部 鳩宿、米村、佐藤
マーケティングサイエンスコンサルティング部 松本、田中
E-mail: bd@nri.co.jp
バンクディスプレイ詳細HP:https://www.bd.nri.co.jp/
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