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野村総合研究所、都内の会社員を対象に「働き方と移住」のテーマで調査

〜コロナ慣れで低い出社頻度を志向、コロナ以前の働き方では、会社員の不満増加と都心一極集中の継続を招く〜

2022/06/24

株式会社野村総合研究所

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株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役会長 兼 社長:此本 臣吾、以下「NRI」)は、2022年2月15日から2月21日にかけて、東京都内の大企業1に勤務する20代~60代の男女合計3,207人を対象に、働き方と郊外・地方移住に関するインターネットアンケート調査(以下、「本調査」)を実施しました(アンケート対象者は、パート・アルバイトを除いています。また、テレワーク実施者と未実施者の両方を含みます)。
本調査から得られた主要な結果は、以下の通りです2

出社の実態は「週3日以下」が5割で、会社員はさらに少ない出社頻度を志向

2022年2月現在の出社頻度を尋ねたところ、「毎日出社」が4割弱(38.3%)である一方、「週3日以下」が約5割(51.3%)でした(図1上)。本調査の実施は、まん延防止等重点措置の期間中ではあったものの、緊急事態宣言下ではありませんでした。感染拡大防止を目的とした出社抑制が厳しく求められる状況ではなくても、テレワークを利用した柔軟な働き方が一定程度定着してきた結果だと考えられます。
本調査の結果では、理想とする出社頻度は「週3日以下」が約7割(74.3%)でした(図1下)。現在の出社頻度(「週3日以下」が約5割)と比較すると、全体的な傾向として、都内の大企業に勤める会社員は実態よりもさらに低い出社頻度を志向していると考えられます。実際に、現在と理想の出社頻度を掛け合わせて見たところ、現在の出社頻度が「理想通りの出社頻度」という回答が43.5%であるのに対して、現在の出社頻度が「理想よりも多い」と感じている回答が45.0%でした(図2)。毎日出社することが当たり前だったコロナ以前と比較して、会社員が働き方に求める “当たり前” の基準が変化した可能性があります。

図1 現在の出社頻度と理想の出社頻度(N=3,207)

図2 現在と理想の出社頻度比較(N=3,207)

理想よりも出社が多い場合、働き方に不満を持つ割合が高まる傾向

「理想よりも出社が多い」と感じる回答者のうち、約8割(81.7%)が、自らの働き方に対して何らかの不満を抱えています。その割合は、「理想通りの出社頻度」と答えた回答者よりも約25ポイント高い結果となりました(図3)。この結果から、出社頻度(理想と実態のギャップ)と働き方に対する不満には何らかの相関があると考えられ、出社頻度が社員の理想よりも高くなることは、不満の増加を引き起こす可能性があります。
前述の通り、コロナ禍とそれに伴うテレワークの浸透で、出社頻度に対する会社員の “当たり前” の基準は大きく変化したと考えられます。したがって、コロナ禍が収束した状況でコロナ以前の働き方(毎日出社)に戻すことは、多くの社員から「理想よりも出社が多くなった」と受け止められ、働き方に不満を抱える社員の割合の増加につながる可能性があります。つまり、毎日出社の働き方に戻すことは、社員から見ると “ゼロ(元通り)への変化” ではなく “マイナスへの変化” と捉えられかねず、離職や転職を誘発する恐れがあります。

図3 働き方に対する不満(N=3,207)

理想の出社頻度が少ない会社員ほど、郊外や地方への移住意向が高い

5年以内の郊外・地方3への移住意向を尋ねたところ、理想の出社頻度が少ない人ほど、郊外・地方への移住意向は高い傾向が見られます(図4)。特に、理想の出社頻度が「週3日以下」の人は、「毎日」や「週4日」の人よりも、移住意向が約9~15ポイント高い結果となりました。
都内の大企業に勤める会社員の多くが理想とする出社頻度(週3日以下)の実現によって、郊外・地方への移住が促進される余地が出てきます。言い換えると、現状では理想の出社頻度・働き方が実現できていないために、郊外・地方への移住が制約を受け、大きな動きとなっていない可能性があります。

図4 郊外・地方への移住意向(理想の出社頻度別、N=3,207)

コロナ以前の働き方(毎日出社)に “揺り戻す” 動きは、移住を妨げ、都心一極集中の継続を招き得る

本調査の結果、出社頻度と働き方に対する不満および郊外・地方移住意向との間に関係性があることが分かりました。調査時点(2022年2月)では、一定程度テレワークが普及しているものの、会社員が理想とする出社頻度を実現できてはいないことが、郊外・地方への移住が大きな動きとなっていない一つの要因だと考えられます。
足元では、ワクチン接種が進んだことなどから、感染防止対策を理由としてオフィスに人が集まることをできるだけ避ける "Withコロナ時代のルール" が緩和されつつあります。それに伴い、毎日の出社を前提とするコロナ以前の働き方へ戻す "揺り戻し" の動きも見られます。このような企業の動向は、多くの社員が抱いている理想とは逆方向であり、職場への満足度低下および郊外・地方移住意向の減退につながると考えられます。その結果、最近話題となっている郊外・地方移住は瞬間的・局地的なムーブメントに終わり、これまでの都心一極集中が継続する可能性があります。

1 本調査では、従業員が300名以上の企業を「大企業」と定義しています。

2 本資料に記載した構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはならない場合や、内訳の計と合計が一致しない場合があります。

3 都心から公共交通機関で1時間程度の場所を「郊外」、2時間以上の場所を「地方」として聴取しています(公共交通機関について、具体的な種別の指定は行っておりません)。

ご参考

調査概要

調査名 働き方と生活に関するアンケート
調査時期 2022年2月15日~2022年2月21日
調査方法 インターネットアンケート
調査対象 東京都内の大企業(従業員300名以上の企業)に勤務する20~60代の男女
(回答者数は、東京都における会社員(パート・アルバイトを除く)の性・年代別構成比(10歳刻み)に応じて割付。その構成比は、総務省統計局にて公表されている「平成29年就業構造基本調査」を用いた。)
有効回答数 3,207人(性・年代別の内訳を別表にて記載)
主な調査項目 現在と理想の働き方、現在の居住状況、住まいに対する価値観、転居の意向、郊外・地方への移住意向、住まいとライフイベントの関係性 等

別表 有効回答数の性・年代別内訳

男性 女性
20~29歳 351 341
30~39歳 374 345
40~49歳 358 356
50~59歳 492 307
60~69歳 230 53
合計 1,805 1,402

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お問い合わせ

ニュースリリースに関するお問い合わせ


株式会社野村総合研究所 コーポレートコミュニケーション部 玉岡、梅澤
TEL:03-5877-7100
E-mail: kouhou@nri.co.jp

本件調査の担当


株式会社野村総合研究所 コンサルティング事業本部
アーバンイノベーションコンサルティング部  渡會、青木、光橋
マーケティングサイエンスコンサルティング部 淺桐