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野村総合研究所、ICT産業における生成AIのインパクトを分析

~2029年度までの主要10市場の予測と産業として取り組むべき16の課題を踏まえて~

2023/12/19

株式会社野村総合研究所

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株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役会長 兼 社長:此本 臣吾、以下「NRI」)は、2030年代を見据え、通信、放送・メディアなど、主要10市場の2029年度までの市場規模の予測と、そこから導かれるICT(情報通信技術)産業が取り組むべき16の中期的課題および解決策を取りまとめました。それらの結果は、書籍「ITナビゲーター2024年版」として公表します(12月20日、東洋経済新報社から発売)。

同書では、消費者視点での「デジタルライフの未来」、様々なサービスをICTで支える「インフラ・プラットフォームの未来」、そしてサービスやプラットフォームに通底する「データ流通とガバナンスの未来」、そしてICT産業における企業経営の視点からの「サステナビリティ経営の未来」という4つの観点から、2030年に向けたICT産業の変革、およびその変革に向けて取り組むべき課題を整理しました。

NRIでは、上記4つの全ての観点において、近年話題の「生成AI」が大きな影響を及ぼしていると考えています。以下では、生成AIがICT産業や社会にもたらすインパクトとそれへの対応策を、4つの視点で整理しました。詳細な市場分析や予測、他の中期的課題については、上記の書籍をご参照ください。

生成AIで変わるコンテンツ開発

誰でもコンテンツを世に出せる時代に。「熱狂創出」が差別化のポイント

  • 誰でもアイデアを形にし、世に出せる時代が到来する。「倍速消費」(動画の再生速度を速めるなどの方法で時間効率を高めてコンテンツを視聴・閲覧すること)を行う消費者の旺盛な消費欲求に応える形で、コンテンツ作成等で生成AIの活用が進む。
  • 一方、「推し消費」も増加トレンドにある。「推したくなる」ような熱狂を生む作品やコンテンツは、AIだけでは生み出せず、人間の洞察力が必要。
  • IPホルダー(作品・キャラクターなどの知的財産を保有・管理する事業者)は、「倍速消費」にのみ迎合せず、「推し消費」に応えることで存在価値を維持すべき。そのためには、顧客接点、データ加工・分析の基盤、データ活用の技術・ノウハウを用意することが必要となる。

生成AIで変わるデジタルマーケティング

生成AIで効率を追求するのではなく、「SPOT-LIGHTモデル1」で戦略の再構築を

  • 生成AIの活用により、広告主がマーケティングプロセス全体の内製化を進められるようになり、インターネット広告市場における中小・零細企業の参入増、すなわちロングテール化が加速する。
  • また、大量の広告クリエイティブ作成や配信結果の比較・改善を高効率で運用することも可能となり、インターネット広告は一層効率性を追求できるようになる。
  • しかし、生成AIをただの効率化装置として用いるのではなく、効率性を過度に重視した広告の制作・運用に対する破壊的イノベーションと捉え、これを契機にCX(カスタマーエクスペリエンス:顧客体験)重視のマーケティング戦略への転換をすべき。
  • LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)発想で、生活者との間での中長期的な関係を構築するため、NRIで開発した「SPOT-LIGHTモデル」によって、マーケティング戦略を再構築することを提案する。

生成AIの普及を視野に入れたルールメイキング

生成AIと共存する社会像を描き、我が国ならではのルールを打ち出すべき

  • 生成AIをめぐり、各国・地域はプライバシー、セキュリティ、著作権等の現実的な問題へ対処するための政策を検討しており、ルールメイキングの主導権を争っている。
    EU: 人権の保護を主眼に置いたリスクベースでの法規制を導入
    米国: 市場の自律性を重視し、自主規制を志向
    日本: 最低限のリスクに配慮しつつ、国家戦略としてAIを通じたイノベーションの促進を模索
  • 生成AIにおいて日本は、欧州だけでなく米国と比較しても、イノベーションをより積極的に促進する立場を取ることで、日本発のルールを打ち出せる立場にある。
  • 生成AIは将来的に人が望めば「何でも」できるまで進化する可能性がある。何をどこまでAIに任せ、人は何に注力すべきか、生成AIと「共存する社会像」を描くことから議論を始めるべき。

生成AI時代の人的資本経営

「非認知能力2」を含めた従業員のスキルセットをデータ化し、経営に役立てることが必要

  • 人的資本経営の本質は事業戦略と人材戦略の連動であり、その実現に向けて、戦略につながる本来的に必要な業務と、社内人材の有するスキルをいかに最適にマッチングさせるかが模索されている。
  • 環境変化の激しい中で事業戦略は短周期で見直される一方、採用市場の流動化に伴い従業員のスキルセットも常に入れ替わることから、事業遂行上必要なポストやプロジェクトのデータと、人材の有するスキルやコンピテンシーといったデータを、ICTによってマッチングさせる「Talent Marketplace3」というソリューションが台頭している。
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)、そして生成AIが業務に入り込む時代においては、人間には論理的思考力や情報処理能力といった、これまでホワイトカラーに求められていた能力以上に、「誠実さ」や「やりきる力」「好奇心」といった能力が求められるようになった。
  • これらの能力は「非認知能力」と呼ばれ、研究分野のみならず、企業経営、特に人事・人材育成の分野において注目を浴びている。非認知能力の測定や、強化するソリューションも生まれている。
  • 人的資本経営の実行に当たっては、非認知能力まで含めた個々の従業員のスキルをデータ化し、育成や配置、採用を行うことが求められる。
  • 1  

    マーケティング戦略の設計及び実行の論点となる、「Story-telling」「Personalization」「Optimization」「Trustworthiness」「Long term strategy」「Innovation」「data Gathering」「Harmonization」「Tracking」の9つの要素を集約した考え方。

  • 2  

    一般に、IQや学力といったテストなどで評価される能力が「認知能力」と表現されることに対して、物事に対する考え方、取り組む姿勢、行動など、日常生活・社会活動において重要な影響を及ぼす能力が「非認知能力」と表現されている。

  • 3  

    Talent Marketplaceとは、企業が行うべき業務と人材の意志・能力を結び付けるバーチャルな社内人材市場を形成し、業務と人材の最適なマッチングを実現する仕組みやツールを指す。

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お問い合わせ

ニュースリリースに関するお問い合わせ


株式会社野村総合研究所 コーポレートコミュニケーション部 玉岡、梅澤
TEL:03-5877-7100
E-mail:kouhou@nri.co.jp

本件に関するお問い合わせ


株式会社野村総合研究所 ICT・コンテンツ産業コンサルティング部 亀井
TEL:03-5877-7314
E-mail:itnavi2024_pmo@nri.co.jp