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2022年度のポイント・マイレージ年間最少発行額は初めて2兆円を突破

〜国内12業界について、2022年度までの推計と2027年度までの予測を実施〜

2023/12/28

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株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役会長 兼 社長:此本 臣吾、以下「NRI」)は、家電量販店やキャッシュレス決済1、携帯電話など、国内12業界の主要企業2が1年間に発行するポイント・マイレージの発行量を金額換算した「年間最少発行額3(以下「発行額」)」について、2022年度までの実績推計および2027年度までの予測を行いました。また、2019年度~2022年度は、行政のキャッシュレス促進施策などで発行されるポイントについても推計しました。

(本資料に記載の構成比の数値は、小数点以下第1位を四捨五入しているため、内訳の計と合計が一致しない場合があります)

2022年度は行政主体の発行額が前年比約6倍の9,548億円に増加し、年間最少発行額は初の2兆円台に到達

2022年度は、行政主体の発行額と民間部門における発行額が合わせて2兆1,890億円となり、初めて2兆円台に到達しました。2兆円台に到達した主な要因は、「マイナポイント事業」で、発行額は9,548億円と推計されました。同事業による発行額が大きくなった要因は、2022年6月から「マイナポイント第2弾4」が開始され、一人当たりの付与額の上限が、従来の5,000円分から20,000円分に増加したことです。

なお、政府のマイナポイント事業は2023年9月に申請の受付を終了したものの、個別自治体が行うマイナポイント事業5など、行政の施策にポイントを活用する動きは続いており、今後も行政主体のポイント発行が生じると考えられます。

2022年度の民間発行額は1兆2,342億円で、昨年度から約14%の増加

2022年度の民間部門における発行額(以下、「民間発行額」)は、2021年度の1兆834億円から約14%増加し、1兆2,342億円と推計されました(図1)。2021年度から発行額が増加した大きな要因は、キャッシュレス決済の拡大と航空需要の回復です。
「キャッシュレス決済」による2022年度の発行額は5,701億円となり、2021年度から約20%(842億円)増加しています(表1)。キャッシュレス決済が拡大した要因としては、新型コロナウイルス感染症の流行に端を発する「新しい生活様式」への対応や巣ごもり需要、マイナポイント事業によるキャッシュレス決済の普及推進、キャッシュレス事業者による大規模な利用促進施策などの影響が考えられます。また、航空需要も新型コロナウイルス感染症による行動自粛の影響を強く受けた2020年度・2021年度に比べると大きく回復しており、ポイント発行額で見ると2021年度に比べて約170%の増加となっています(表1)。
2023年度以降の予測値に目を向けると、民間発行額は増加を続け、2027年度には1兆6,000億円を突破する見込みです。これは、2022年度時点では航空需要が新型コロナウイルス感染症流行以前の水準に回復しておらず、今後も増加基調が予想されることと、キャッシュレス決済やECプラットフォーマー6の市場規模の継続的な拡大が今後も予見されるためです。

図1: 国内におけるポイント・マイレージの年間最少発行額の実績値(推計)と予測値7

出所:NRI

表1: 国内12業界別 2022年度のポイント・マイレージ年間最少発行額と算出の根拠

※「ホームセンター」業界は、2022年度から推計対象に追加したため、前年度データなし
出所:NRI

今後は、グループ共通ポイントの規模拡大と共通ポイントの発行額減少が予想される

発行額の推計対象であるポイントは、複数の事業者間で使える「共通ポイント」、グループ企業/グループ関連施設でのみ使える「グループ共通ポイント」、当該事業者でのみ使える「ハウスポイント」の3つに大別されます。
その中で、近年は鉄道系事業者がグループ共通ポイントを導入する動きが盛んになっています。具体的には、JR西日本グループは2023年4月に、JR東海グループは2023年10月にグループ共通ポイントを開始しており、相鉄グループは2024年3月にグループ共通ポイントの開始を予定しています。グループ共通ポイントは、グループ内に顧客を囲い込める点やポイント・データを自由度高く活用できる点が魅力であり、また、グループ内で会員プログラムを一本化することで業務効率化や費用削減効果も見込まれます。今後は、新たなグループ共通ポイントを開始する企業の増加や、加盟店数の拡大によるグループ共通ポイントの規模拡大が考えられます。

また、共通ポイントに目を向けると、楽天ポイントとPayPayポイントは、2022年度の発行額が6,000億円相当を突破したことを発表11>しました。主要な共通ポイント事業者はキャッシュレス決済・EC・金融・通信等の複数事業で構成される経済圏を展開しており、「共通ポイント」は経済圏拡大のためのインセンティブとして重用されてきました。経済圏の覇権争いは続いていることから、今後もポイントは重要な役割を担うと考えられます。ただし、2023年9月にマイナポイント事業が終了したことに伴い、2023年度はマイナポイント事業の発行額が約6,500億円減少する見込みです。マイナポイントは、選択したキャッシュレス決済事業者のポイントが付与される仕組みであり、主要なキャッシュレス決済と共通ポイントは深く結びついていることから、2023年度は共通ポイントの発行額減少が予想されます。

NRIは今後も、ポイント・マイレージの市場動向を継続的に分析し、ビジネスを促進するポイントプログラムのあり方を提案していきます。

  • 1  

    キャッシュレス決済:クレジットカード・デビットカード・電子マネー・コード決済の4種類で構成。ただし、2018年度以前は、クレジットカードのみで算出している。なお、ポイントは、ポイント加盟店等での購買・利用に対する付与に加え、キャッシュレス決済の利用に対しても付与されることが通例だが、「キャッシュレス決済」では、後者のポイント付与額についてのみが集計対象となっている。

  • 2  

    国内12業界の主要企業:国内でポイント・マイレージの発行を活発に行っている12業界(キャッシュレス決済、家電量販店、携帯電話、航空、ガソリンスタンド、総合スーパー、コンビニエンスストア、ECプラットフォーマー、百貨店、ドラッグストア、外食、ホームセンター)において、ポイントプログラムサービスを提供中かつ、売り上げが上位の企業。算出の対象社数は表1を参照。

  • 3  

    年間最少発行額:推計するポイント・マイレージの発行額は、各業界で集計対象とした企業の数が限られていること、また、来店キャンペーンなど購買金額にかかわらず発行されるものや、特別会員向けなどの追加発行ポイントを除いていること、加えて、行政主体のポイント発行に関しても、主要な施策のみの集計となっていることを踏まえ、「年間最少発行額」としている。

  • 4  

    マイナポイント第2弾:マイナポイント事業は、マイナンバーカードの普及や活用を促進するとともに、消費を活性化させるため、QRコード決済や電子マネーなどのキャッシュレス決済サービスで利用できるマイナポイントを付与する事業。マイナポイント第2弾では、「マイナンバーカードを新規取得した上で選択したキャッシュレス決済サービスで20,000円までのチャージ又はお買い物に対するポイント(最大5,000円分)」に加え、「マイナンバーカードの健康保険証としての利用申込み」や「公金受取口座の登録」により、各々7,500円分のマイナポイントを受け取ることができる。

  • 5  

    自治体マイナポイント事業:地方自治体等が決済サービス事業者と連携する仕組みを備えた「マイナンバーカードを利活用できる共通基盤システム」を利用して、地方自治体等の住民を特定し、迅速かつ効果的な給付施策等を実現する事業のこと。自治体マイナポイントのホームページ上で施策の検索が可能で、2023年12月現在は神奈川県藤沢市などが施策(https://c.g2b2c.paymentsjapan.or.jp/measure/detail.html?measure_number=LP000135)を行っている。

  • 7  

    ECプラットフォーマー: B to CまたはC to Cの電子商取引を行うための基盤となるオンラインサービスを提供している事業者。商品やサービスの販売者と購入者を結びつけ、取引や支払いの仲介を行う。

  • 6  

    実測値(推計)と予測値:行政のキャッシュレス促進施策等で発行されるポイントに関して、2018年度以前は、2019年度~2022年度ほどの大型キャッシュレス促進施策が見られなかったことから、推計は行っていない。また、2023年度以降の数値も、今後の政策に大きく影響されることから、推計は行っていない。

  • 8  

    ポイント適用率:各社の総売り上げのうち、ポイントカードの提示などでポイントが付与される(ポイント制度が適用される)売り上げの比率。

  • 9  

    ポイント還元率:ポイントが利用者に還元される際に、その還元額が元の販売金額に占める比率。航空マイルの全額換算については、1マイル当たり1.5円としている。

  • 10  

    決済取扱高:各キャッシュレス決済において決済利用された金額の合計値。ただし、クレジットカードのキャッシング、デビットカードの国内ATMにおける利用額、交通系電子マネーの交通利用額は除外している。

  • 11  

    楽天グループ株式会社およびPayPay株式会社の公表資料より。ただし、楽天ポイントは2022年1月~12月、PayPayポイントは2022年4月~2023年3月の集計。

ご参考

【調査概要】

ポイント適用率の設定方法 NRIが実施した「NRI生活者1万人アンケート」の結果や、各種公開情報を参考に、個別企業ごとに5%刻みで設定した。
ポイント還元率の設定方法 各種公開情報を参考に、最も低い値などを業界基準値として採用した。航空マイルの金額換算については、1マイル当たり1.5円とした。
ポイント・マイレージ年間最少発行額の推計方法 ポイント・マイレージ最少発行額=ポイント付与の基本指標となる数値×ポイント適用率×ポイント還元率。
有償旅客マイル 有料で搭乗する旅客ごとの飛行距離の総和。
マイナポイント関連発行額の推計方法 公表されているマイナポイント申込数から既存発行額を算出。
Go To Eat キャンペーンの集計方法 Go To Eatキャンペーンの内、オンライン飲食予約によるポイント付与のみを集計。

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お問い合わせ

ニュースリリースに関するお問い合わせ


株式会社野村総合研究所 コーポレートコミュニケーション部 玉岡、梅澤
TEL:03-5877-7100
E-mail:kouhou@nri.co.jp

本件調査の担当


株式会社野村総合研究所 ヘルスケア・サービスコンサルティング部 松原、冨田

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