フリーワード検索


タグ検索

  • 注目キーワード
    業種
    目的・課題
    専門家
    国・地域

NRI トップ ニュース ニュースリリース一覧 野村総合研究所とNRIデジタル、「生成AIが変える仕事と産業の未来」について将来像の予測を発表

野村総合研究所とNRIデジタル、「生成AIが変える仕事と産業の未来」について将来像の予測を発表

〜製造、金融、流通小売、広告、エンターテインメント、行政の将来像を予測〜

2024/02/27

株式会社野村総合研究所
NRIデジタル株式会社

  • Facebook
  • Twitter
  • LinkedIn

株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役会長 兼 社長:此本 臣吾、以下「NRI」)とNRIデジタル株式会社(本社:神奈川県横浜市、代表取締役社長:雨宮 正和、以下「NRIデジタル」)は、生成AIが変える仕事のありかたや、生成AIが導入されることによって大きな構造変化がもたらされる製造、金融、流通小売、広告、エンターテインメント、行政という6つの産業・分野について、それぞれの動向分析と将来像の予測、および生成AIを進化させる技術動向の分析を行いましたので、その要旨を本稿で発表します。詳細は、NRIとNRIデジタルの共同執筆で2月28日に発売される書籍「AIナビゲーター2024年版」をご参照ください。

書籍「AIナビゲーター」ではAI技術の最新トレンドと各産業における活用状況を掘り下げるとともに、生成AIの実用化を促進する「AIスーパーコンピュータ」「生成AIプラットフォーム」や、大規模言語モデル(LLM)の拡張技術(RAG、ファインチューニング等)についても分析しています。

生成AIのビジネス活用予測

NRIが、業務で生成AIを利用している就労者に対して、現在の業務が、生成AIでどの程度自動化・効率化されると思うかを調査した結果、20~30%未満の自動化・効率化がはかれるという回答が最も多くなっています(図1)。

図1:生成AIの導入で現在の業務が自動化・効率化される割合

設問:「生成AI」を導入することで、あなたが現在行っている業務が、
どのくらい自動化・効率化されると思いますか。

※業務で生成AIを利用している就労者が対象(448人)
出所:NRI「生成AI利用に関する就労者調査」(2023年10月)

一方、生成AIの発展により、AIは単なる効率化のツールという段階を脱し、人間と円滑にコミュニケーションを取りながら作業を進められる新たな段階に入っています。
NRIは、生成AIがビジネスにおいて活用されている現状と今後の予測を、「生成AIのアプリを用いた既存業務のサポート(フェーズ1)」、「生成AIを既存業務の高度化・効率化に利活用(フェーズ2)」、「生成AIで自社の業務やビジネスモデルを変革(フェーズ3)」という3段階に分け、特に変化が大きい業界において、現在とどのように異なる業務となっているかを見通しました(図2)。

図2:生成AIの活用フェーズと主な活用例(業界別)

出所:NRI

フェーズ1:生成AIのアプリを用いた既存業務のサポート

<業界共通>

  • 文章作成の場面で、生成AIがあいさつ文など作成したり、オリジナリティある「ひねり」を加えた文章にする際の「壁打ち」相手となったりしている。
  • 文章要約において、専門用語を平易な表現に変えたり、アンケートの自由回答欄について、どのような意見が多く見受けられたか文章にまとめて説明したり、ポジティブまたはネガティブな意見に分類し、グラフなどに「見える化」をしている。
  • プログラミング支援として、Excelのマクロ作成やデータの整形、作業を効率化するためのコマンドなどを生成している。
  • 人対人のディスカッションに先立ち、生成AIをアイデアの「壁打ち」相手として、思いや考えをまとめるための整理に使ったり、ディスカッション時に生成AIを検討メンバーの一員として加えたりしている。

フェーズ2:生成AIを既存業務の高度化・効率化に利活用

<製造>

  • 生成AIによって大量に生成された画像を参考に、デザイナーがイラストやデザインを作成し直し、製品やパッケージなどのデザインを完成している。
  • 生成AIを活用して短時間で大量かつ多様なアイデアを創出することが可能になり、デザインの方向性の共有と意思決定が高速化され、開発に関する業務全体が大幅に短縮されている。
  • 生成AIが生成した多数の画像から、どのデザインが消費者に好まれそうかを人間が評価しながら、デザインを絞り込んでいる。

<金融>

  • 個人向けサービスとして、日々のニュースや利用者の情報を踏まえて、さまざまな金融商品や保険商品に対してアドバイスを提供している。
  • セールスの支援として、営業員と生成AIがコワークしながら、顧客のニーズに応えている。
  • コンプライアンス対策として、新たに業務を追加する場合に起こりうる内部不正のシナリオに、生成AIを活用して役立てている。

<流通小売>

  • 顧客からのあいまいな問い合わせに対して、生成AIが適切な商品を紐づけ、在庫データをもとに自動的な発注業務を行ったり、店頭の配荷・陳列データをもとに最適な商品陳列を提案したりしている。
  • よく受ける質問のデータを用いて、生成AIが質の高いFAQを生成し、FAQだけで解決する確率が向上するとともに、顧客にとっての利便性も高まる。

<広告>

  • 動画広告では、生成AIに簡単なプロンプト(命令)を与えるだけで、クライアントとその提案内容に即したバーチャルな人物やキャラクターなどが生成され、場面に応じて声色やトーンなどを自動で選択したり、説明に適切な抑揚をつけたりしている。
  • クライアントへの広告提案や、打ち合わせの日程調整を、生成AIが完遂している。
  • 営業部門によるプロジェクトの統括と、クリエイティブ部門による広告の最終チェックと仕上げのみを人間が担当し、その他の業務は全て生成AIが担当している。

フェーズ3:生成AIで自社の業務やビジネスモデルを変革

<製造>

  • 医薬品の製造において、大量の電子顕微鏡画像から生成AIを活用してタンパク質の構造変化を広範囲に予測できるようになったことなどから、過去の研究データや分子データなどを用いた「AI創薬」が本格化している。

<流通>

  • ユーザーのニーズやコンテキストを理解し提案する「ショッピングAIアシスタント」がウェブサイトに搭載され、店頭で店員と会話しながら提案を受けるように、ウェブ上で生成AIと会話しながらショッピングする「会話型コマース」が浸透している。

<エンターテインメント>

  • 「AIタレント」やバーチャルヒューマンなどのリアリティの高度化が進み、それらを提供するサービスが一般化し、生成AIを用いて生成された文章、画像、音声、動画、音楽などのデジタルコンテンツである「シンセティックメディア」が活用されている。

NRIとNRIデジタルは、将来的に誰もがデータ・AIを活用できるようになると予測します。生成AIが人間とデータ・AIの仲介者(エージェント)として、人間の指示や意図を理解し、データ・AIとの対話を補助するようになります。即ち、誰もが「言葉」でAIと対話し、データから価値や洞察を抽出できる時代がくると予測されます。

ご参考:調査概要

調査名 生成AI利用に関する就労者調査(2023年10月)
調査期間 2023年10月13日から2023年10月16日
調査方法 インターネットアンケート
対象者 全国に居住する20~69歳のビジネスパーソン(パート・アルバイトを除く就労者)
回答数 2,000人(性・年代別に均等割付)

  • Facebook
  • Twitter
  • LinkedIn

お問い合わせ

ニュースリリースに関するお問い合わせ


株式会社野村総合研究所 コーポレートコミュニケーション部 玉岡、梅澤
TEL:03-5877-7100
E-mail:kouhou@nri.co.jp

NRIデジタル株式会社 広報担当 野呂、瀬戸
E-mail:info@nri-digital.jp