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2040年度の新設住宅着工戸数は58万戸に減少、2043年の空き家率は約25%まで上昇する見通し

2024/06/13

株式会社野村総合研究所

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株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、社長:柳澤花芽、以下「NRI」)は、日本における「2024~2040年度の新設住宅着工戸数」、「2023~2040年のリフォーム市場規模」、および「2028~2043年の空き家数と空き家率1」を推計・予測しました。
主な結果は以下のとおりです2

1.新設住宅着工戸数(2024~2040年度の予測)

新設住宅着工戸数は、2023年度の80万戸から、2030年度には77万戸、2040年度には58万戸と減少していく見込みです(図1)。

図1:新設住宅着工戸数の実績と予測(全体)

出所:実績値は国土交通省「住宅着工統計」より。予測値はNRI。

利用関係別3に見ると、2040年度には持家15万戸(2023年度22万戸)、分譲住宅14万戸(同24万戸)、貸家(給与住宅を含む)29万戸(同35万戸)と、いずれも漸減する見込みです(図2)。

図2:新設住宅着工戸数の実績と予測(利用関係別)

出所:実績値は国土交通省「住宅着工統計」より。予測値はNRI。

また、昨今の工事原価の上昇が2024年度は継続しない場合、2024年度の新設住宅着工戸数は86万戸・うち持家の新設住宅着工戸数が26万戸と見込まれますが、工事原価の上昇が継続した場合は、2024年度の新設住宅着工戸数は82万戸・うち持家の新設住宅着工戸数が21万戸に留まる見込みです。

2.リフォーム市場規模(2023~2040年の推計・予測)

広義のリフォーム市場規模4は、今後もわずかながら成長を続け、2040年には8.9兆円に達する見込みです(2022年は約8.1兆円)。狭義のリフォーム市場規模は、それより約1.2兆円小さい規模と見込まれます(図3)。

図3:リフォーム市場規模の実績と予測

出所:実績値は住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅リフォームの市場規模」より。予測値はNRI。

3.空き家数と空き家率(2028~2043年の予測)

2024年4月、5年ぶりに更新された「住宅・土地統計調査」によると、2023年の空き家率は13.8%と、2023年6月発表のNRI予測値(17.4%)を下回りました。これは、空き家の除却が進んだというよりはむしろ、世帯数増加に伴い居住世帯ありの住宅数が増加したため、予測と実績の乖離が生じたものと考えられます。この世帯数増加も踏まえて、改めて今年公表された「住宅・土地統計調査」を基に、中長期の空き家数と空き家率を予測したところ、2043年には空き家率が約25%に上昇する見込みです(図4)。

図4:総住宅数・空き家数・空き家率の実績と予測

出所:実績値は総務省「住宅・土地統計調査」より。予測値はNRI。

住宅の建て方別に空き家率の推移を見ると、長屋建5+共同住宅では空き家率が減少している一方で、一戸建では上昇していました。これは世帯数増加の中心が単独世帯であるために、その受け皿となる長屋建+共同住宅とは異なり、一戸建に住む割合が高い核家族等の居住世帯が増加しなかったためと考えられます。
また、一般的に、一戸建の空き家は腐朽・破損ありの割合が比較的高い傾向にあります。そのため、単独世帯以外の世帯(核家族世帯等)数減少に伴い、一戸建の空き家数が増加することは、腐朽・破損ありの空き家数の増加につながります。NRIの予測では、2043年の一戸建の腐朽・破損あり空き家数は165万戸と予測され、2023年(82万戸)の2倍以上となる見込みです(図5)。

図5:一戸建の空き家数・空き家率の予測

出所:実績値は総務省「住宅・土地統計調査」より。予測値はNRI。

4.まとめ

新設住宅着工戸数は現在の減少傾向が続き、2040年度には58万戸(2023年度比約27%減)にまで落ち込む見通しです。一方で、空き家率については、2023年の13.8%から2043年には約25%まで上昇する見込みです。
現在、空き家率が緩やかな上昇に留まっている主な要因は世帯数増加にあります。また、世帯数増加を牽引しているのは単独世帯であり、2030年代前半まではその傾向が継続するとみられています。単独世帯から居住先として選ばれづらい一戸建は今後空き家率が急上昇し、それに伴い腐朽・破損ありの「危険な空き家」も急増が見込まれます。「危険な空き家」の急増は、まちの景観・安全の観点からも問題となるため、社会課題として認識すべき事象です。「まだ利活用できる空き家を中古住宅として流通させる」という方向に加え、「利活用が難しい危険な空き家の急増をどう防ぐか」という方向でも、社会全体で制度改革に取り組むことが求められます。

  • 1  

    空き家率:「住宅・土地統計調査」上の「空き家数」の「総住宅数」に対する割合を指します。

  • 2  

    本資料では四捨五入等の処理を施した数値を記載しています。

  • 3  

    利用関係別:「住宅着工統計」上の区分で、持家は「建築主が自分で居住する目的で建築するもの」、分譲は「建て売りまたは分譲の目的で建築するもの」、貸家(給与住宅を含む)は「建築主が賃貸する目的で建築するもの」を指します。

  • 4  

    広義と狭義のリフォーム市場規模の定義:狭義のリフォーム市場規模は、「住宅着工統計上『新設住宅』に計上される増築・改築工事」および「設備等の修繕維持費」を指します。広義のリフォーム市場規模は、狭義のリフォーム市場規模に「エアコンや家具等のリフォームに関連する耐久消費財、インテリア商品等の購入費を含めた金額」を加えたものです(住宅リフォーム・紛争処理支援センターより)。

  • 5  

    長屋建:二つ以上の住宅を一棟に建て連ねたもので、各住宅が壁を共通にし、それぞれに別々に外部への出入り口をもっている住宅を指します。いわゆる、「テラスハウス」と呼ばれる住宅もここに含まれます。

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お問い合わせ

ニュースリリースに関するお問い合わせ


株式会社野村総合研究所 コーポレートコミュニケーション部 玉岡
TEL:03-5877-7100
E-mail:kouhou@nri.co.jp

本件調査の担当


株式会社野村総合研究所 コンサルティング事業本部 渡會、大西、御前、青木、戸田、浅井