業務システム検討時には、経営や業務における課題の解決に必要な要素(=要件)は何かを洗い出し、整理するフェーズが必要です。そう聞くと、「要件が膨大にありすぎて整理ができない、優先度がつけられない」とお考えの方も多いと拝察しますが、実はポイントとなる視点がいくつか存在します。本話では、数々の業務システムの要件定義をリードしてきた筆者の経験を踏まえて解説します。
システムへの要件を洗い出そう
システム導入を計画する際には、まず将来運用するシステムにどのような形で業務・経営課題の解決を支援させるか考えることになります。そこで必要になる作業が、システムに期待する事を書き出す、いわゆる要件(Requirement)の洗い出しです。ここで要件を検討することで、システムが実現すべき事を明確にし、ソリューション選定時や実際にシステム導入を行う際の基本方針として活用するのです。
一般的に、ITシステムが業務・経営課題の解決のために「できること」には大きく以下の4つのカテゴリーがあります。
-
1.
データの活用
- 分析データの提供
- 実行支援
- 統制
-
2.
人的作業の代替
大きなカテゴリーとして、「1.データの活用」及び「2.人的作業の代替」があり、更に1をブレークダウンして考えると「分析データの提供」「実行支援」「統制」という3つの小カテゴリーとなります。業務とシステムの接点は情報のINPUTとOUTPUTであり、現場業務から収集=INPUTされた情報を管理・加工し最終的にOUTPUTとして情報提供する、というのがシステム運用の基本的な流れとなります。そのような観点から、システムが課題解決に寄与するべきOUTPUTとは何かを考え、システムに対する要件を洗い出していくのです。
続いての章は・・・
- 「分析データの提供」からシステムへの要件を考える
- 業務を円滑にする「実行支援」から要件を考える
- オペレーションミスや不正を防ぐ「統制」の観点から考える
- 「人的作業の代替」による課題解決を考える
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