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NRI トップ サステナビリティ ステークホルダー・ダイアログ 2016年度 CSRダイアログ

サステナビリティマネジメント

2016年度 CSRダイアログ

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2016年9月21日、2名の有識者をお迎えして、「CSRダイアログ」を開催しました。ダイアログでは、常務執行役員の横山賢次と、「NRIグループの目指す持続可能な社会」や「NRIとSDGs(持続可能な開発目標)」などについて意見を交わしました。いただいた貴重なご意見は、これからの経営やサステナビリティ推進活動に活かしていきます。

出席者

(五十音順/所属、役職は2016年11月時点)

近藤 哲生氏

近藤 哲生氏

(国連開発計画(UNDP)駐日代表
東京大学大学院非常勤講師(国際保健政策学))

2005年外務省を退職後、UNDPバンコク地域本部スマトラ沖津波被害復興支援上級顧問、国連東チモール派遣団人道支援調整官を経て、UNDPコソボ事務所副代表、UNDPチャド事務所長を歴任。2014年1月から現職。

定松 栄一氏

定松 栄一氏

(特定非営利活動法人国際協力NGOセンター(JANIC)事務局長)

日本赤十字社、シャプラニール、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンでの活動歴30年、ネパールに通算11年駐在。 NGOセクターの強化および他セクターとの連携強化に尽力中。2015年3月から現職。

横山 賢次

横山 賢次

(野村総合研究所 常務執行役員)

グローバル業務企画、コーポレートコミュニケーション、総務、業務、調達管理、経理財務を担当。中長期の視点から事業を通じた社会課題の解決やサステナビリティ活動を先頭に立って推進する。

ファシリテーター:石田 寛氏

経済人コー円卓会議(CRT)日本委員会 専務理事事務局長

横山

NRIでは本年4月、新社長に此本臣吾が就任し、2015年度からスタートした長期経営ビジョン「Vision2022」を推進しています。このビジョンを推進するにあたって、今後NRIが海外に事業展開していく場面が一層増えていきます。今まで以上にグローバルな観点から、社会課題やさまざまなステークホルダーの要請に応えられるよう、ダイアログのテーマを“「未来に向けた持続可能な社会づくり」へのNRIの役割と責任”とさせていただきました。

NRIは2022年、2030年をどのような社会にしていきたいのですか?

近藤氏:

まず、NRIは長期経営ビジョン「Vision2022」(以下、V2022)を掲げていますが、2022年をどのような社会にしていきたいと考えているのでしょうか。また、2015年度の学生小論文コンクールのテーマは「2030年に向けて」ということでしたが、これはSDGs(国際連合の定める持続可能な開発目標)の目標年である2030年を念頭に置いたものなのでしょうか。NRIが掲げている2022年と2030年という2つの目標年がどのように位置付けられているのか教えてください。

横山:

2030年は、それまでに社会が大きく変化する年として、未来社会の一定点としてわれわれも重視しています。2022年は、NRIの経営ビジョンが基本的には8年サイクルであることから、前回Vision2015の次の成長戦略を完遂する目標年となっています。V2022の中では、CSR、環境、健康経営といった非財務的な戦略もかなり打ち出しており、例えばCO2削減率について、日本政府の目標年は2030年ですが、NRIは、8年前倒しの2022年に日本政府の目標とほぼ同じ削減率25%を達成しようとしています。

近藤氏:

2つ目は、先月TICAD(アフリカ開発会議)がナイロビで開催され、その中で安倍首相は「改善」「防災」「もったいない」といった日本発の、特に産業界が提供するバリュー(価値)を強調し、またその実例を作ってきた日本産業界のリーダーの方々から発言がありました。NRIとしては、今後途上国の開発や紛争地域の復興支援などを通じて、将来の顧客、マーケットを育てていこうという考えはあるのでしょうか。

横山:

海外の取り組みについては、NRIのコンサルティング事業はこれまで海外でビジネスを展開するお客さまの支援や、インフラ整備や技術輸出などさまざまな海外の支援を行ってきています。特に安倍政権になってからは、アフリカを含め、国づくりの企画運営面の支援を中心に行っています。また、ITソリューション事業では、既にモンゴルやバングラディシュなどで金融ソリューションの提供を行っており、これから市場の成長が見込める新興国の資本市場インフラの整備や、人材育成を支援することで、それらの国の成長を支援する役割を担っています。

「改善」「防災」「もったいない」ということに対して、われわれは直接に「もの」を作っているわけではないので、ソフト面でのアイデアを出すという役割を担っていると思います。熊本の震災復興に関しても、益城町に2名が常駐して、復興に向けたコンサルティングを行っています。東日本大震災への復興についても震災以降、各地で支援を同様に続けています。こうした支援は多様な知見とこれまでの実績をもつNRIならではのもので、すべて企業理念「未来創発」に基づいた行動なのです。

近藤氏:

2000年のMDGs(ミレニアム開発目標)から2015年のSDGs(持続可能な開発目標)へつながる一連の開発目標の動きの背景には、日本がアイデアと資金と技術を提供し、推進してきた貧困削減の努力が大きく作用しています。アフリカでも、日本の技術を使ったインフラ整備に対する大きな期待があり、既にいくつかの日本企業はUNDPと連携し、SDGsの達成に向け率先して動こうとしています。
SDGs達成のカギの一つとなるのはITを中心としたテクノロジーです。また、SDGsは目標であり、方法論がありません。NRIがもつ方法論(アイデア)とITソリューションのノウハウをSDGs達成のために是非役立てていただきたいと思います。SDGs達成の道のりは長いですが、その長い道のりを埋める大きなビジネスチャンス、需要があると考えています。

NRIが定義する「持続可能な社会」とはどのような社会でしょうか?

定松氏:

今日の議題に「未来に向けた持続可能な社会づくり」とありますが、ズバリ、NRIが定義する「持続可能な社会」とはどのような社会でしょうか。さらに言えば、それは従来型の社会と何がどのように違うのでしょうか。おそらく、NRIも持続可能な社会「以前」の開発モデルを牽引してきた日本企業の1社だと思います。だからこそ、すごく大きな変化をしていかないと、新しい持続可能な社会を引っ張っていくのは難しいと言えます。そういう意味で、自分たちが今までと違うどのような社会を目指すのかということを定義することが必要なのではないかと思います。

横山:

正直に言えば、それを明確に定義しているわけではありません。持続可能な未来社会という広い概念の中には、環境面の問題だけでなく、第4次産業革命と言われている人工知能やIoT(モノのインターネット)がもたらす社会変革もありますし、地域金融機関の疲弊や、地方創生の問題も含まれます。こうしたさまざまな問題に対して、NRIがナビゲートして、イノベーションしていくということだと思います。例えば、先週発行したグリーンボンドは、日本でもグリーン債券を発行する企業が増え、欧州並みの数兆円の市場規模になり、環境やサステナビリティの問題解決にそのお金が向かえばよいという思いを込めて作った仕組みです。

写真:定松 栄一氏

定松氏:

今回のSDGs(持続可能な開発目標)と、その前のMDGs(ミレニアム開発目標)で何が決定的に違うかと言うと、目指している開発の在り方、社会の在り方が変わったということがポイントだと思います。MDGsの時には、途上国もやがては先進国になっていくという方向を目指していたのに対し、SDGsでは、「みんなが先進国を目指したら地球はもたない」という認識に変わったということです。
もう一つは、いま富が極端に偏在している社会なので、「誰も取り残さない社会」を目指そうということです。各地で紛争が頻発して人権が侵害されている社会を、公正で平和で人権を尊重する社会にしていくことが、持続可能な社会ということだと思います。

SDGsの17のゴールの中で、NRIはどのテーマに重点的に取り組むべきと考えますか?

持続可能な開発目標(SDGs)ロゴ

持続可能な開発目標(SDGs)ロゴ

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近藤氏:

9番「産業・技術革新基盤の構築」だと思います。ITアクセス、コネクティビティがあると、人々は自然にいろいろなことを考えて、自分の生活をよくしていくという実例を私はUNDPで実感しているので、産業基盤の構築はNRIの専権事項と言ってもよいと思います。

写真:近藤 哲生氏

もう一つは、10番「格差の是正」です。貧しい人と富める人の間で断絶が起きて、お金を持たない人はお金を持っているリーダーを信じてついていったら少し違ったというのが、ブレグシット(Brexit,英国のEU離脱)にしてもトランプ現象にしても、社会の不満の一つの現れだと思います。人々の信頼が格差によって崩れることにより、社会は分断し悪い方向に向かうという教訓です。そこで、お金を持っている人が、どうやったら世界を本当に変えられるのかということについて、実証的にアイデアを提起できるのがNRIだと思います。

定松氏:

私もやはり10番「格差の是正」は、NRIのような企業が何か突破口を作ってくれないかと期待しています。さらに10番に関連して17番に「パートナーシップで目標を達成しよう」というゴールがあるのですが、持続可能な開発目標を実現していくうえで、新たな資金調達の方法が課題になります。これまでは専ら政府開発援助が牽引役になってきましたが、資金が足りず税収も落ちている状況です。NRIの源流は野村證券だそうですが、証券取引はそもそもグローバルな取引です。グローバルな取引で得た利益を使って、グローバルな課題解決のために貢献できる仕組みを、証券会社から生まれたNRIが率先して作っていくことは、とてもアピールできる取り組みだと思います。
もう一つは、新たなライフスタイル、新たな価値観の提案ということが「未来創発」につながっていくと思うのですが、そのために、12番「持続可能な生産と消費」が重要です。この中には、例えば食料廃棄量を2030年までに現在の半分のレベルにするというゴールが掲げられています。これは日本でもすごくチャレンジングな目標だと思うのです。しかし、例えば今、日本で食料が多く廃棄されているところの一つ、コンビニエンスストア(CVS)に対して、今よりも食料廃棄を抑えられる食料管理の仕組みを、既にNRIが提供しているCVSシステムの中に新たに作っていくということは、考えられると思います。 NRIはいろいろなことをやっていて、分野を限定することが難しいというのはわかるのですが、どの分野に限らず、未来に向かうベクトルはどっちの方向なのかということは、はっきりした方向性を示さないといけないと思います。

近藤氏:

先ほどの話に関連して、例えば食料廃棄を抑える努力をしている姿勢が投資家の方々に伝わり、そこに投資をするということが、よりNRIの社会的価値を向上することになると思います。

横山:

実際に今回初めてグリーンボンドを出すにあたって、投資家や企業などを回って評価を聞いてみたのですが、多くの投資家・企業がそのような主旨の話をしていて、変化や手応えを感じました。大きなうねりだと思います。

定松氏:

一つ具体的な提案として、V2022の中で、NRIとしてグローバルな問題解決に貢献するという目標も長期ビジョンの中にあっていいのではないかと思います。

石田氏:

今日はポジティブな話が多く出ましたが、ネガティブな負の影響というのも、厳しくNGO等が見ています。NRIには中国のオフショアパートナーが4,000人あまりもいるということですが、ここの労働状況はどうなのかという点は気になるところです。NRIは情報サービス産業界に属するという点から、バリューチェーンの中で児童労働が起きる可能性は低いかもしれませんが、常に従業員や地域コミュニティから声が上がってきたら、それを聞くという姿勢をもつことが大事です。ステークホルダーというよりも、ライトホルダー(権利所有者)一人ひとりの声をきちんと聞いてあげるという姿勢です。

写真:横山 賢治

横山:

本日は大変すばらしい機会でした。皆さまからいただきました示唆を今後のサステナビリティ活動に活かしていきたいと思います。来月10月1日付で新組織「サステナビリティ推進室」を立ち上げるにあたっても、大変参考になりました。ご指摘いただきました「持続可能な社会を定義」については真摯に受け止め、NRIらしい、もつべきビジョン・方針をきちんと立てたうえで取り組みを進めていきたいと思います。

本日は、ありがとうございました。

(2016年11月8日公開)

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