自然資本に関するリスク・機会の特定(TNFDシナリオ分析)

自然との接点の認識

NRIグループは2022年7月よりTNFDフォーラムに参画し、TNFD開示フレームワークで示されているLEAP(Locate, Evaluate, Assess, Prepare)アプローチを参考に、シナリオ分析を進めています。
分析にあたっては、まずNRIグループの事業と自然との大まかな接点を把握しました。具体的には、NRIグループのバリューチェーンを整理し、各要素が自然に対しどのような依存・影響関係にあるか、ENCORE等のツールを参照して把握しました。その結果、主に①データセンター・オフィス利用に関する接点(エネルギーや設備の調達等、バリューチェーンの上流を含む)、②ITソリューションおよびコンサルティング等のサービス提供先(バリューチェーンの下流)、③社会提言やコンサルティングサービスを通じた社会変革等の間接的な接点の3種類があることを整理しました。

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    ENCORE(Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure):Natural Capital Finance等が提供するウェブベースのツールであり、GICSに基づく157の産業と自然への潜在的な依存・影響などを把握することができる。TNFDでも、Scopingや、LEAPのLocate等の実施に役立つツールとして参照されている。

NRIグループの事業と自然との接点

LEAP分析に基づくNRIグループのリスク・機会の特定

この結果を踏まえ、2023年度は、自然関連のリスク・機会の特定に向けたさらなる検討を行いました。
LocateおよびEvaluateでは、地理的な情報も含め、NRIグループと自然との依存・影響の関係をより詳しく調査しました。ENCORE等のツールを用いて調査したところ、NRIグループはデータセンターやオフィスにおいて主に廃棄物・温室効果ガスの排出で自然に影響を与え、また、特にデータセンターにおいて主に水資源に依存している可能性が高いことが確認できました。このうち、温室効果ガスの排出による影響の詳細は、前述のTCFDシナリオ分析に記した通りです。水の利用や廃棄物の排出については、地域全体の利用量および排出量から見ると微量であり、現時点ではNRIグループの事業単独で自然の状態を大きく変化させるほどではないと考えられます。なお、NRIグループの一部の拠点が鳥獣保護区に近接していますが、NRIグループの事業がそれらの地域へ直ちに及ぼす影響は確認されませんでした。今後もこれらの拠点における自然への影響の有無については注視していきます。
Assessでは、上記の自然との接点および依存・影響の関係を踏まえ、将来的にNRIグループにとってどのようなリスク・機会が生じるか、シナリオ分析によって把握しました。その結果、次の表のようなリスク・機会を認識しました。
Prepareでは、以上の分析結果も踏まえ、後述の「指標と目標」に記載の目標を掲げています。なお、TNFDでは自然に関する科学根拠に基づく目標(SBTs for Nature)の設定が推奨されていることから、今後もこうした動向を把握してさらなる分析を行い、目標の見直しを随時行っていきます。

自然資本に関連するNRIグループのリスク・機会と財務的影響(336KB)

経営基盤(ESG) サステナビリティ