NRIグループでは、ビジネスが人権に及ぼす影響への理解と、人権尊重を意識した企業活動が持続可能な社会づくりに必要であると認識し、「国際人権章典」「ILO中核的労働基準」等の国際的規範および、「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権尊重への取り組みを進めています。
人権に関する方針
NRIグループ人権方針ガバナンス
NRIグループの人権に関するガバナンス体制は以下の通りです。人権デューデリジェンス
人権リスクアセスメント
NRIは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」で定められた手順に従って、人権デューデリジェンスの仕組みを構築しています。
2023年度は、世界的に認められた人権リスク評価手法を提供しているVerisk
Maplecroft社*1および外部有識者の協力を得て、人権リスクアセスメントを実施し、NRIグループの事業活動が人権に及ぼす潜在的な人権リスクの特定を行いました。
また、業界別のリスク分析に当たっては、世界最大のESGテクノロジー会社RepRisk社*2のデータベースを活用しています。
これらのリスク分析手法を用いて、「テクノロジーとAI」「プライバシー権」「適正な労働時間」をNRIの重要な人権リスクと特定しました。
- ※1
Verisk Maplecroft:リスク分析・リサーチ・戦略予測の分野におけるリーディング企業。政治・人権・経済・環境リスクが組織のレジリエンスや持続可能な調達に及ぼす影響について、データに基づくソリューションやアドバイスを提供する。
- ※2
RepRisk:AIと機械学習を人間の知能と組み合わせて活用し、公開情報を体系的に分析し、重要なESGリスクを特定する、ESGデータサイエンスのパイオニア企業。RepRisk ESGリスクプラットフォームは、ESGリスクに関する世界最大のデータベース。
人権インパクトアセスメント
NRIは、潜在的なリスク評価結果を受け、2019年度から、NRIおよびそのグループ会社、ビジネスパートナー(業務委託先、派遣会社、購買先等)を対象とした実態把握を開始しています。実態把握に向けては、有識者によるアドバイスを受け、調査内容や方法を策定しているほか、各国・地域の法令や内外環境の理解を進め、調査内容や方法を見直しています。
2023年度~2024年度上期は、NRIおよびグループ企業向けにSAQ(Self-Assessment
Questionnaire)を配布し、NRIおよびグループ企業におけるリスク状況の把握を行ったほか、複数拠点に実査インタビューを行っています。これらの調査結果や、人権リスクアセスメントの結果をもとに、人権テーマの見直しを行いました。
2023年度~2024年度上期の人権デューデリジェンスの結果を踏まえ、NRIが重点的に取り組む人権テーマを、新たに「テクノロジーとAI」「プライバシー権」「適正な労働環境」と設定しました。
是正措置
AI活用に向けたリスク対応の取り組み
人権リスクアセスメント、インパクトアセスメントによって特定されたテーマのうち、「テクノロジーとAI」に関する是正措置 として、「AI活用に向けたリスク対応の取り組み」を進めています。
人々の生活や社会活動に様々な恩恵をもたらす一方で、悪影響を及ぼす懸念もあるAI関連技術の扱いについて、NRIはAI
に関わる研究・開発・利活用等を進める立場としての責務を認識し、事業活動の中で適切にAIを導入・活用していくことが
重要と考えています。そこでNRIは、新たなリスクに対応しながらAIに関わる研究・開発・利活用等を進めるため、「NRIグルー
プAI基本方針」を策定しました。また、本方針の取り組みの実効性を一層高めるため、AIガバナンスのプロセスを構築、運用し、 公正かつ健全なAIの利活用に努めています。
適正な労働環境に関する取り組み
人権リスクアセスメント、インパクトアセスメントによって特定されたテーマのうち、「適正な労働環境」に関する是正措置と して、従業員の労働時間や健康、ハラスメントに関しては、引き続き全社で対応しています。
国内では、従業員の労働時間や健康については、2015年度から、社員のQOL(Quality of Life)の向上に資する「健康
経営」の実現を目指し、生活習慣病を減らすことや、ワーク・ライフ・バランスの推進に取り組んでいます。ハラスメントについては、全社員を対象としてアンコンシャスバイアス研修の受講を必須としているほか、部室長・GM課長層向けに、いじめ・
いやがらせ・ハラスメントの報告や事例への対応方法について共有しています。
海外でも、各国の法令や環境・状況などに合わせて各拠点で取り組みを推進しています。
人権に関する相談・通報への対応
NRIは、人権の負の影響から生じた被害に対して早期・直接的な救済を可能とするために、相談・通報窓口を設けています。
各窓口においては、通報者のプライバシー厳守を徹底しながら、関係部門が連携し適切な対応につなげています。また、下記の窓口以外でもコンプライアンス等の違反が疑われるものは、調査・対応をしています。
相談状況・結果については、コンプライアンス会議や主管部等で対応し、代表取締役社長に報告することとしています。
今後も「ビジネスと人権に関する指導原則」で求められている苦情処理メカニズムの観点から、当社の仕組みの実効性を検証、取り組みを推進していきます。