グローバルサウスとは
グローバルサウスとは、南半球に位置するアジアやアフリカ、中南米地域の新興国・途上国の総称です。明確な定義や対象国のリストはありません。冷戦時代に「第三世界」と呼ばれていたインドや西アジア、中央アジアなどを含むアジア、アフリカ、ラテンアメリカ、太平洋島しょ国などの国々を指します。グローバルサウスの概念には、中国も対象に含みえます。
注目が高まるグローバルサウス
2023年1月のダボス会議では「世界の分断」が一つのテーマとなり、ウクライナ情勢をめぐる社会情勢もあり、グローバルサウスの存在感が高まりました。
冷戦時代に東西どちらにも属さない存在であったグローバルサウスとよばれる国々のスタンスがウクライナ情勢で注目されたことにより、グローバルサウスという言葉の注目度が再度高まりました。
この中でも、インド周辺地域を含むインド以西の「西のグローバルサウス」は、グローバルサウスの中でも成長が著しく、マーケット環境も変化しており、注目すべき地域です。
グローバルサウスの対義語として、経済的に豊かな国々をグローバルノースとよびます。アフリカ、ラテンアメリカ、アジアなどの新興国や途上国の多くが南半球に位置することからグローバルサウスとよばれることに対し、南北問題と言われるように、経済的に豊かである国々は北半球に多いことからグローバルノースとよばれます。
図:グローバルサウスと「西のグローバルサウス」
人口、GDPともに米中を超えるグローバルサウス
2022年にインドが中国の人口を上回り、2026年にはグローバルサウスの人口の合計が世界の2/3を占めると推計されます。
グローバルサウスの経済規模はすでに中国のGDPを上回っています。また、2040年までには米国の名目GDPを超える見込みです。このようにグローバルサウスは経済的にも政治的にも無視できない存在となることから、グローバルサウスとどのように関係構築すべきかは、各国の重大な検討事項となりました。
「西のグローバルサウス」
グローバルサウスの地域の中でも、主にユーラシア大陸のインド以西の地域とアフリカ大陸の国々や中央アジア・コーカサスなどの「西のグローバルサウス」は、経済規模ではグローバルサウス全体の半分を占める巨大マーケットとなっています。経済面のみならず、中国やロシアなどの大国と隣接し古来より貿易や交通の要衝として位置づけられ現在も大国の影響を受ける国、中国の一帯一路政策によりインフラ整備による経済発展が期待される国、中国の進出や投資を意識し欧米が連携や投資を検討する地域も含まれ、地政学的な観点からも今後のビジネスの展開などが注目される地域です。
文化・商慣習などの面で、マーケットへのアプローチにハードルのある地域ですが、中東やアフリカは10年前に比べ大きく変容しています。宗教上の厳格な規律はありつつもオープンマインドになり外国企業の誘致に積極的な中東、社会的な規則が未整備で新たなことに挑戦しやすい環境が整っており実証の場としても注目されていることからスタートアップなどの投資先としても注目されているアフリカ。中央アジアに関しては、大国に囲まれた二重内陸国や国土面積の小さい国も多く、工業や輸出ビジネスに不利であることから昨今のデジタル化の潮流に国家レベルで迅速に向き合うなど、政策への反映や実行力の高さから短期間での成長が期待されています。
周辺の大国の影響を受けやすい「西のグローバルサウス」では、変化に富み、マーケットのポテンシャルが高まっており、直接投資だけでなく間接投資や第三国連携によるアプローチなどさまざまなスキームでのアプローチが期待されます。
動画で解説
「グローバルサウス」に関して動画でお伝えしています。