VUCAとは
VUCAという言葉は、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つの言葉の頭文字をとった造語です。
その意味は“社会環境・ビジネス環境の複雑性が増大する中で、想定外のことが起きたり、将来の予測が困難だったりする、不確実な状態”を指します。
(読み:ブーカ)
軍事用語からビジネス用語になったVUCA
VUCAという言葉は、米ソ冷戦後の不確実な状況下において米国で軍事用語として使われ始めたと言われています。近年コロナ禍のパンデミックやAIなどデジタル化の潮流によりビジネス環境においても短期間で大きな変化が起きた事で、2010年以降ビジネス用語として使われるようになりました。
さらに、2016年の世界経済フォーラム(ダボス会議)で「VUCAワールド」という言葉が使われたことにより、VUCAという言葉が世界中で認識されるようになりました。
V・U・C・Aの要素
VUCA時代の先の読めない環境下では、既存の戦略では対応できないことも増えており、経営戦略の変更やビジネスモデルの変革が必要になります。V・U・C・Aそれぞれがどのような要素であり、どのような対応が求められるのかを紹介します。
Volatility(変動性)
変動性とは、ものごとが大きくそして速く変化する状況のことです。Z世代などに代表される人々の考え方の多様化や、AIの急激な発達などのテクノロジーの進化による社会の仕組みの変化などがあげられます。短期間で大幅かつ急速な変化を察知し、迅速に的確な判断をすることが求められます。
Uncertainty(不確実性)
不確実性とは、将来起こることが予測できない状況のことです。気候変動、新型コロナウイルスの流行などがあげられます。不確実な要素が多く予測不可能な中での意思決定は難しく、経営者にはそのような状況下での判断力・推進力が求められます。
Complexity(複雑性)
複雑性とは、さまざまな要素が複雑に絡み合っている状況のことです。SNSの浸透により大量の情報が飛び交う状態、多様性やグローバル化などがあげられます。例えば、事業の海外展開などの際には、異なるルール・文化・慣習など多様性を柔軟に受け入れ、的確な判断をすることが求められます。
Ambiguity(曖昧性)
曖昧性とは、Volatility、Uncertainty、Complexityが絡み合い生じる因果関係が曖昧な状況のことです。既存の常識が通用せず、答えが1つではないことも曖昧性の特徴です。何か問題が発生した際の原因や改善策などについて分析や特定が困難になりますし、多様な要素に対応できる戦略の策定は非常に難しくなります。
変革と多様性が求められるVUCA時代の経営
VUCA時代において、企業は環境変化に応じ柔軟な適応が必要とされますが、それを担い、推進させていく人材もまた、経営環境に応じた臨機応変な対応や、自らを変革し続ける力が求められます。加えて、様々なバックグラウンドやマインド、専門性を有した、多様性の高い人材ポートフォリオを構築していくことも必須となっていくでしょう。
では、このような多種多様な人材をまとめ意を一つにし、事業を推進していくためには何が必要なのでしょうか。
ある意味逆説的ではありますが、その一つとして考えられるのは、企業として「これは変えられない・大事にし続けるモノ」、「パーパス(存在意義)」を見定め、それを社内外に魅力的に発信することです。様々なバックグラウンドやマインドをもつ多種多様な人材を一つにしていくことのハードルは高く、一方でそれらを連帯させ、事業推進の礎となってもらうためには、企業が掲げる存在意義や、大事にし続けるモノやありたい姿に対する「共感」を形成し続けることが、一つのカギになると考えます。