Web3とは
Web3(Web3.0)は、ブロックチェーン技術を用いることでインターネットがさらに分散化の度合いを強めた姿を指す言葉。
(読み:ウェブスリー)
Web1.0/Web2.0との違いを利用者視点でみると、コンテンツ閲覧が中心の一方向コミュニケーションがWeb1.0、プラットフォーマーの登場によりコンテンツ閲覧に加え自らコンテンツを生み出し発信する双方向コミュニケーションが可能になったものがWeb2.0と言える。一方、Web3ではデータの所有や信頼性担保、決済処理などのインターネット上のコンテンツ運用の仕組み自体が利用者側に分散化されることで、非中央集権型の新しいエコシステムが創出できるとして注目を集めている。
Web3が注目される理由
現在、Web2.0のインターネットでは、一部の大きな力を持つプラットフォーマーなどの企業や組織が個人のデータや権利を管理しているため、個人が自分の情報を所有し自由に利活用できる権利が侵害されているという意見がある。そのような背景から、中央集権的な組織を介さずに、個人が自分の情報やデータを所有し誰でも安全に利活用できるWeb3という新しいインターネットの世界感を目指すための議論が活発化されてきた。
Web3の4つの特徴
Web3は、①非中央集権化、②相互検証可能な透明性、③自己主権性、④自律性という4つの特徴をもつ。これらは、ブロックチェーン技術という、「信頼できる第三者」を介在させずに参加者相互による分散型の合意形成を実現し、すべての取引の監査証跡管理を可能にする技術に基づいて実現されている。
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①
非中央集権化(Decentralization)
パブリックブロックチェーン上のデータやサービスは、基本的にネットワークの参加者間で共有されているため、特定のプレーヤーに権限が集中することがない。 -
②
相互検証可能な透明性(Transparency)
取引データはブロックチェーンにより「ブロック」と呼ぶファイルにまとめられ、複数の検証者によって改ざんされないように確定される。悪意のある人が取引データを改ざんしようとする場合、他の人がもつブロックを含めすべてのブロックを改ざんする必要がある。そのため、ブロックチェーンは参加者同士の間で公開されながらも改ざんが困難な透明性の高いデータになる。 -
③
自己主権性(Self-sovereignty)
ブロックチェーンは、特定の組織が統治権を持たない分散型システムである。参加者は個人であり、個々人の身元の証明に必要なデータは暗号技術を使って自分自身で管理しながら価値を取引することができる。その反面、自身の身元に関するデータを管理する上でのセキュリティ対策は自己責任に委ねられる。 -
④
自律性(Autonomy)
ブロックチェーン上の取引をトリガーにして自動実行できる処理プログラム「スマートコントラクト」を使って、様々なサービスを構築できる。処理内容はプログラムで自由に定義でき、「トークン」と呼ばれる価値単位を使用し、処理開始から取引完了までが自動的に行われる。「トークン」は、エンドユーザー同士の直接の価値交換やサービス利用料に使用され、これにより、サービスを自己責任で構築し利用する「自律性」が実現できる。
Web3によって実現される世界
金融や物販などをはじめとする幅広い分野で、データ共有、決済、知的財産管理などのWeb3技術を活用した社会的アプリケーションが創出されている。代表的なアプリケーション分類としてDeFi、GameFi、NFT、DAOの概要とサービス対象領域を以下に示す。
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※1
DeFi:Decentralized Finance(分散型金融)の略称
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※2
GameFi:GameとFinance(金融)を組み合わせた造語
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※3
NFT:Non-Fungible Token(非代替性トークン)の略称
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※4
DAO:Decentralized Autonomous Organization(分散型自律組織)の略称
Web3の抱える課題
Web3の目指す世界の実現においては、以下のような技術的課題、法制度的課題、リテラシー的課題などの障壁が残る。一方、将来的に社会に大きな影響を与える可能性あるとされるため、特にビジネスへの活用においては業界コンソーシアムや政府の動向に注目が集まる。
- 技術的課題:従来の取引処理と比較して、ブロックチェーンは処理パフォーマンスが低いことに加え、技術仕様の標準化に向けた取り組みなどが途上である。
- 法制度的課題:NFTにおける著作権や意匠権の限界や暗号資産によるマネーロンダリング対策、DAOの法律上の位置づけなど法制度・税制面の仕組みづくりが必要とされており、社会的な受容が進むまで時間がかかる見込み。
- リテラシー的課題:現時点ではWeb3技術を活用したアプリケーションを利用する際、暗号鍵の管理やトークン、NFTの取引方法などを理解する必要がある。そのため、アプリケーション利用のハードルが高く利用者が限定的。