クッキーレスとは
クッキーレス(Cookieless)とは、Webサイトの閲覧履歴を保存するクッキー(Cookie)による情報の取得が規制される動きのこと。「ポストCookie」や「アフターCookie」と呼ばれることもある。
デジタルマーケティングに欠かせないクッキー
クッキー(Cookie)とは、Webサイトの閲覧履歴を保存しておくための仕組みです。ユーザーが特定のWebサイトを見た際に、Webブラウザ(Chrome、Safari、Firefoxなど)に送られるデータのことです。クッキーのデータを分析することで、各ユーザーのWebサイトのアクセス回数、ログイン情報、インターネット広告の表示実態などがわかります。
クッキーの情報は大きく2種類にわけられます。利用者がアクセスしたWebサイトの運営会社から直接発行される「ファーストパーティークッキー」と、第三者(インターネット広告を配信している広告会社など)から発行される「サードパーティークッキー」です。ファーストパーティークッキーが付与されることで、ユーザーは一度入力したユーザー名やパスワードの入力を省略できたり、閲覧履歴に基づいた情報の提供を受けることができます。一方、サードパーティークッキーを活用することで、インターネット広告との接触状況や、他社のWebサイトの閲覧履歴を把握することができます。これらの情報を活用し、利用者の関心が高い商品・サービスの広告(リターゲティング広告)を表示したり、広告の効果や効率性を分析することができます。
進むクッキーの規制
クッキーレス(Cookieless)とは、このクッキーによる情報の取得が規制される動きのことで、「ポストCookie」や「アフターCookie」と呼ばれることもあります。
個人情報保護の観点から、EUやアメリカでは、法律によりクッキーによる情報の取得が制限されるようになりました。またGoogleは、2020年1月に「2年以内にWebブラウザChromeにおいて、サードパーティークッキーの廃止」を決定し、2022年には多くのサードパーティークッキーが消滅すると考えられています。さらに、Appleではファーストパーティークッキーも取得制限を強化し、Webサイトへのアクセス履歴は7日でクリアするなどの方針を発表しました。
日本の場合は法的に完全に制約されているわけではありませんが、GoogleやAppleなどのプラットフォーマーによる自主規制や、倫理的観点からの「炎上リスク」などを考えると、日本国内においてもクッキーレスが急速に進むものと考えられます。
日本のデジタルマーケティングへの影響は大きい
日本におけるデジタルマーケティングは「リターゲティング至上主義」などとも言われ、自社の商品・サービスに関心の高い人をいかに効率的に見つけるかに主眼がおかれてきました。また、2010年ごろからブームとなった「CX(Customer Experience)」は、従来までの「CRM(Customer Relationship Management)」と比べて顧客の感情も考慮することがポイントでした。この感情を把握・分析するためにはWebサイトの閲覧履歴が重要であり、クッキーの技術がCXブームの背景にもなっていました。
クッキーは非常に手軽で便利な技術であり、日本のデジタルマーケティングはクッキーに大きく依存してきてしまいました。クッキーレスは、CX、リターゲティングというデジタルマーケティングの根幹を揺るがす出来事であるといえます。