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シナジー/アナジー

Synergy / Anergy

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シナジー/アナジーとは

シナジーとは事業間の相乗効果のことを意味し、シナジー効果と表現される場合もある。アナジーとは事業間の相互マイナス効果のこと。

シナジー、アナジーは、企業における各事業の関係や企業統合の効果を表す用語です。例えば、2つの事業の価値がそれぞれ100とすると、統合することで価値が200よりも大きくなり、企業価値が向上する状態をシナジー、価値が150に減ってしまう状態をアナジーといいます。すなわち、シナジーとは経営の相乗効果のことで、アナジーとは経営の相互マイナス効果のことです。

シナジーを考慮した事業展開・多角化

シナジーには、販売チャネル、生産、技術、人材、経営管理などの面があります。企業は、これらの面でのシナジーを考慮して、既存事業と関連性のある新事業へ進出したり、業態を多角化したり、相互補完的な企業との業務提携や統合を行ったりします。例えば、一眼レフのカメラメーカーがデジタルカメラの生産や販売に進出しているのは、デジタルカメラ事業でも過去の銀塩カメラで獲得した販売チャネルや技術とのシナジーが存在したためです。自動車業界でみると、日産自動車とルノーの提携が商品開発や調達などでシナジーを実現した例、ダイムラーとクライスラーの合併が相乗効果を実現できなかったアナジーの例です。

アナジーを回避するためには適切なPMI(M&A成立後の統合プロセス)が重要
-M&Aにおける戦略統合のポイント-

国内市場での成長限界に直面した日本企業の多くは、海外市場にその活路を見いだし、海外への販路進出、工場の現地化を進めてきました。そして強化しなければならない市場においては、販売チャネルや生産機能の買収を推進してきました。しかしながら、すべての買収が成功しているとは言えません。海外M&Aにおいて、PMI(Post Merger Integration:M&A成立後の統合プロセス)が計画通りに進展しなかったために、企業経営そのものに厳しい影響を及ぼしているケースもあります。

PMIのプロセスは、戦略統合、業務統合、モニタリングの3つに分かれます。このうち、買収企業・被買収企業の経営陣同士の間で事業環境に対する共通認識を醸成し、統合後の戦略を策定していく戦略統合プロセスは最初のステップに位置づけられ、買収と統合の難しさを克服する上で、その成否がその後のプロセスの成否をほぼ決定するといっても過言ではありません。このような戦略統合プロセスは、買収と統合において最も重要であるにもかかわらず、明確なプロセスやノウハウを持っていないケースも多く、その場合、買収後も統合が進まず、戦略統合によるシナジー(相乗効果)の創出からは程遠い結果となってしまいます。

戦略統合プロセスを成功させるポイントとして、

  • 被買収企業(売り手) の組織能力の見極めとガバナンス体制の構築

  • ビジョンの共有と戦略の構築

  • 統合推進人材(チェンジ・エージェント)の育成

  • 統合状況をモニタリングできる統合推進体制作り

があります。

日本企業の成長の源泉として、今後、海外市場での買収と統合の重要性がさらに高まってきます。それらを成長させていくためには、シナジー効果を出せる戦略統合プロセスと体制、人材育成の仕組みに、経営陣、事業部門、人事部門がしっかりと入り込んで進めていくことが求められます。

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