CONTENTS
- 中国において進展する生活のデジタル化
- 膨張するFinTech大手
- デジタル化対応に迫られる金融機関
- 金融機関のスマート化・デジタル化への転換の加速
- 今後の展望
要約
- 中国のFinTechサービスは、消費者の生活を便利にしながら、ビッグデータ蓄積のきっかけを作り、生活のデジタル化を推し進めている。モバイル決済をきっかけに、金融サービスに参入したアリババやテンセントは、中国のFinTechを牽引していた。
- 2017年に入り、BATJを代表としたFinTech大手は、自社の強みは技術にあることに気づき、すべて自前で金融サービスを提供するのではなく、伝統的な金融機関と提携するようになった。一方、FinTech大手はエコシステムの拡大に手を緩めることなく、流通業などの異業種へより積極的に進出し、利用者の囲い込みに力を入れた。そこから生まれたビッグデータを活用して、個人向け金融サービスの拡大を順調に進めている。
- 2013年より実施された金利自由化により、銀行の収益力が減少傾向に転じ、FinTech大手との競争、実店舗の運営コストの負担増およびインターネット化の進展とデジタル世代の勃興を背景に、銀行もデジタル化対応を加速している。
- FinTech大手と提携することによってデジタル化を加速させる銀行もあるが、独自で先端的なFinTech技術を取り入れ、成果を上げている銀行もある。その代表例の招商銀行は、金融サービスのスマート化に取り組んだことが功を奏し、国有の5 大銀行の純利益の成長率が1 桁台に落ち込んでいるのとは対照的に、2 桁台の収益成長率を叩き出した。
- FinTech企業にしても金融機関にしても、視点が違うものの、FinTech技術を取り入れることによって、従来はコスト高でカバーすることが困難であった、中間層以下のロングテールへの金融サービスの提供が可能となる。ビッグデータ分析、生体認証やAI(人工知能)などの技術の応用が広がり、今後中国の金融サービスのデジタル化・スマート化がさらに進むと見込まれる。
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