CONTENTS
- はじめに
- 日本の薬価基準制度と抜本改革
- 最新の医薬品開発動向と現行の薬価制度の課題
- 新薬にかかわる薬価評価の将来展望
要約
- 半世紀ほど前の1961年に国民皆保険制度が成立して以来、わが国ではすべての国民が低コストで高品質の医療を受けることが可能となった。世界的に見ても、ここまで医療へのフリーアクセスを許容している国・地域は珍しい。
- 昨今は、医学・創薬技術の進展に伴い、これまでは完全寛解できなかった疾病の治療薬や、既存薬よりも効能の高い医薬品などが登場し、革新的医薬品の高額化が相次いでいる。社会保障財政に鑑みれば、少子高齢化の進展も踏まえて、国民皆保険制度を持続可能にする方法について、真剣に議論する時期を迎えている。
- わが国には、薬価を算定するベースとなるプロセスとして、原価計算方式と類似薬効比較方式の2方式が存在し、このほかに効能・効果、諸外国での平均価格などを加味する多様な補正加算、調整方法が存在する。しかし、オプジーボやソバルディのような革新的新薬は、先進的すぎるが故に、現行制度では諸条件や事情・背景などを踏まえながら技術を適正、かつ公平に評価できているとは言い難い。薬剤の多面的価値を評価可能な、新たな評価手法の導入が求められている。
- 革新的新薬としての適切なプライシングが実現しない場合、わが国の医療環境は、医薬品市場の魅力低下、グローバル・ローンチ戦略の劣後によるドラッグ・ラグの再燃、患者自己負担や保険償還範囲の見直しなど、その見通しは明るくない。医薬品産業としても、最適使用ガイドラインの拡充、リアルワールドデータなどを活用した自社製品の革新性の訴求に向けた取り組み、プロモーションの生産性向上施策をより積極的に展開していく必要がある。
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